第2話 異世界転生

 樹は創造神様と対面する形で話をしていた。


「せめてものお詫びにワシから少しばかり力をやろう」

「ありがとうございます」


 そう言って神様は樹の額の前で手をかざした。

神様が何やら呪文のようなものを唱えると一瞬、体がフワッとした感覚がした。


「お前さんの基礎身体能力と魔力を強化しておいた。それと、スキルも色々付けておいたからこれで

もう、そう簡単に死ぬことは無いぞ」


 神様は微笑んだ。


「魔力ということは魔法も使える世界なのですか?」

「ああ、そうじゃよ。魔法も衰退しつつあるが、お前さんなら問題ないだろう」


 神様の言葉が少し引っかかったが、この時は特に気にも止めていなかった。


「あと、少しばかりだがお金をやろう。無一文という訳にもいくまい」


 そう言うと、神様は革の袋に入った硬貨を渡してくれた。


「何から何まですみません」

「なに、気にするでないよ。じゃあ、そろそろ転生してもらおうとするかな」

「はい、わかりました」


 再び、創造神様が樹の額に手をかざすと体全身が白い光に包まれ、どこかに移動するような感覚があった。



「ここが……異世界なのか」


 目覚めると辺りは森が日色がっており、樹は少し開けた草原の上で寝ていた。


「神様が目覚めたらステータスを確認するように言っていたよな」


『ステータスオープン』


 そう、樹は声を出した。

すると、目の前に半透明な板のようなものが現れ、樹の情報が書かれていた。



《ステータス》


名前 :綾瀬樹

レベル:1

年齢 :17

種族 :人間

スキル:鑑定・経験値増大・気配察知・無詠唱・言語理解・身体強化

魔法 :火・水・風・土・光・闇

称号 :転生者



 まだ、よく分からないが、使えそうなスキルがたくさんある。

神様はスキルレベルというものがあると言っていたが、すべてMaxにしたそうだ。

大丈夫なのかよ。


「とりあえず、この森を抜けないといけないよな」


 そう思い、魔力を平面に広げていく。

するとこの周囲の地形と地図情報が頭に浮かんだ。


「この方向に歩いて行けばいいのか」


 頭に浮かんだ地図を頼りに森を歩く。

すると、スキル気配察知により、魔物がいる気配を感じ取った。


「グレイウルフ、レベルは8か。行けるだろ」


 鑑定スキルにより、敵の情報は全て把握できる。


 樹は身体強化を使うと思い切りグレイウルフを蹴り飛ばした。

すると、グレイウルフは息絶えた。


「いや、一撃かよ」


 いきなりの戦闘で一撃で倒せるとは思っていなかったので正直、驚いた。


『レベルアップしました』


 無機質な声が樹の中で聞こえた。

改めて、ステータスを確認すると、レベルが12に上がっていた。


「レベルアップ早いな。あ、経験値増大スキルのおかげか」


 そんなことを思いながら、樹は森を抜けるまでに8体の魔物と戦った。


「やっと、抜けれたかぁ」


 森を出るころには樹のレベルは46にまで上がっていた。

かなりの距離を歩いたのにも関わらず、体はあまり疲れていない。

これも神様に身体強化されたおかげなのだろう。


 こうして樹は最初の街へと向かうのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る