『好きだと言われたけど、それ美味しいの?』と答えた結果、自分の周りは抜け殻になった異種族が壁画のようになっていました。
鴻上 紫苑
第1話
私は、天艸 志嶺(あまくさ ゆきね)。
田舎暮らしが飽きて北国に引っ越してきた27歳、独身。
親兄弟、親戚関係、近所や友人から 人生は楽しくなきゃやってられないよね!
と、よく聞かされてた。
周りの人達が一人、また一人と恋人を作って結婚していくなか、私は『好き』の感情が分からなくてずっと独身を貫いている。
一度付き合ってもみたけれど、なんか思ってたのと違うなって感じて別れたわ。
上手くいかないのが分かりきっていて長期間付き合うとか意味わかんない。
今は、仕事一筋。
そうして誰もが嫌がる休日出勤も喜んで引き受けた結果、目の前が真っ暗になって倒れた。
次に目を覚ましたら、よく読んでいた小説や遊んでいたゲームの世界にソックリの空間に横たわっていて思わず「あ~。私、死んだんだな」って、何故か納得しちゃってた。
だって、目の前に神と呼ばれてる白服を着こなした青年が申し訳なさそうに土下座しているんだもの。
土下座と言ったら、事故死・病死と神様が絡んでそうなシチュだもんね。
正直、仕事から解放されたことは嬉しかったけど死んでしまったら、やり残したものの未練タラタラで成仏出来ないと思うのは気のせいじゃないよね?
『ごめんなさい!僕達の所為で、貴方に要らぬとばっちりの被害が・・・』
深々と頭を下げ、白い床に額を擦りつけるようにして謝ってくる神様。
別に気にしてないのに。
「私は、あの会社から解放されたから気にしてないです。それよりも、とばっちりって何したんですか?」
『え~っと、それは・・・』
とても言い難そうにポツリポツリと話してくれた。
『じつは・・・。僕達、神としてのランクを決める大会があったんです・・・。そこで、火の神と土の神が魔法を暴発させてしまいました。両者共に制御はしていたのですが、それを見た風の神が火に油を注いだようなことを叫んだことで被害拡大に・・・』
「そこに、私がいて被害を被ったってことですか?」
『・・・はぃ。本当に何てお詫びすればよいのか!本当に、本当に!申し訳ありませんでした!!』
勢いよく頭を下げ続ける神様に私はどんな言葉を継いであげればいいんだろう。
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