第5話 少しでいいから人の話しを聞いてくれ

 「出発時間は10時。 10時ちょうど。 大丈夫ですか… 10時ですよ」

パーキングエリアに貸切バスで到着


トイレ休憩


必ず時間は3回以上叫ぶ


30名ほどのお客さん 


社員旅行以外の旅行は、圧倒的に女性が多数


最初に降りて、ドア近くに待機


階段を踏み外す人がたまにいるから


お客さんが降りて来る


「何時出発?」


「10時って話しました」


「聞いてね…」


何千回も交わしたこの会話


聞く気が無い… 認知症… はぁぁぁ…


売店をうろうろしていると


「添乗員… 何時出発?」


まぁ 行方不明にならずに帰って来てくれれば… 


それでいい。

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