パディントン駅の例のなじみの車掌

 おいおいホームズ、「技師の親指」のことを忘れたのか?

 あの騒ぎの発端となったヴィクター・ハザリー氏を私の診療所に連れてきた二人組の片方だよ。

 苦しいながわずらいを治してやったことがあってね。以来、その男は私の腕前を宣伝して回ってくれていたんだよ。


【ネタばらしのないただのコラム】


 ホームズとワトソンはベイカー街B221で共同生活をしているイメージが強いです。が、ワトソンは結婚後、ベイカー街を離れて開業医をやっていたのです……と断言できないのが難しいところで、このへんの設定があやふやというか、いろいろな作品をつきあわせて考察していくと、矛盾やおかしなところがでてきてしまうのです。

 このあたりをああでもないこうでもないと推理したり、筋の通った解釈をひねり出すことに熱心なファンもいます。文献も出ているので、ご興味のあるかたはぜひ。

「技師の親指」の記述では、ワトソンの家はパディントン駅の近く。筆者はイギリスの地理に詳しくはないのですが、パディントン駅が重要な駅らしいことは想像できます。というのもシリーズにも頻繁に登場する駅だからです。印象ではロンドンを離れた土地での事件にホームズたちが向かうときによく出てくるような。アガサ・クリスティの作品のタイトルにも登場する駅ですね。

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