フールネイ夫人?

 おいおいホームズ、「第二の血痕」の事件のことを忘れたのか?

 スパイのエドアルド・ルーカスを刺して死なせてしまった女だよ。一応、アンリ・フールネイ、つまり、パリでのルーカスの妻だったんだよな。

 確かに婦人が疑ったように浮気こそしていなかったものの、偽名を使って二重生活をしていたんだから、ルーカスもああなって当然というかなんというかだね。




【ネタばらしコラム】




 この先、「第二の血痕」の内容に言及します。未読のかたはご注意ください。





 戦争を引き起こしかねない重要書類を巡る物語。書類を盗んだのは大臣の妻ヒルダ。ヒルダはエドアルド・ルーカス(アンリ・フールネイ)に昔のラブレターをネタに脅され、機密書類を盗んでルーカスに渡すのです。

 ところが取引現場に浮気を疑ったフールネイ婦人がやってきて、ルーカスは刺されます。

 少し変わった形ではありますが「犯人が死亡している」ことで事態がややこしくなるパターンです。もっともドイルは「騙り」の作家ではないので、「犯人が死亡している」ことが読者に最大の驚きを提供するような構成をとってはいません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る