チャールズ・ゴロー?

「海軍条約事件」のことを忘れたのか? フェルプスの同僚だよ。条約が消えた晩に最後まで部屋にいた男さ。彼もなかなかの仕事熱心な人物らしい。ホームズ、君ほどではないがね。



【ネタばらしコラム】

注 以下、「海軍条約事件」のネタばらしがあります。



「海軍条約事件」では、条約を盗んだのではないかと読者が疑いの目を向ける人物が二人います。一人が小使の男の奥さん(小使夫婦の共犯説含む)、もう一人がチャールズ・ゴロー。条約を写す任務を任せられたフェルプスと一緒に仕事をしているので、フェルプスの極秘の作業を嗅ぎつけられなくもないし、出世絡みで動機もありそうという立ち位置にいます。か

 もっともゴローはチラリと出てくるだけなので、ミステリを読み慣れているかたは疑ってかからないかもしれません。

 疑わしい人物の描き方に、コナン・ドイルはさほど頓着していないように感じます。犯人当てにこだわるような作家だと、怪しくなさそうで怪しいやら、いかにも怪しいから犯人でないと思わせて裏の裏をかくやら、もう少し書き込むことが多いのですが。

 ドイルは論理的なパズラーを目指したわけではないので、だから価値が揺らぐわけでもないのでしょう。講談師に手品の手つきが悪いから、ネタが見えてると指摘するような野暮はしないことにします。

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