第6話 激闘
ジャックは1人、3人の敵と対峙していた。
「全く、全員バラバラにされるとはのぉ」
敵はジャックを囲うように陣形を組む!
「三対一とは、なかなかスリルある戦いじゃ」
確実に追い詰められているのはジャックの方なのに敵は攻めきれずにいる。明らかにジャックの異様な覇気に気取られていた。
「さて、やるかのぉ!」
そう言うとジャックは一気に距離を詰めていく!
「こいつ!速い!」
敵の銃弾も飄々と避けながら一人を切り倒していく。
倒した一人を盾にし、敵の銃弾受け止める。
「あのやろぉ!仲間を盾にしやがった!許さなねぇ!」
「これならどうだ!」
敵の一人が何か黒い物体を投げた。
「む!手榴弾か!」
手榴弾が強い閃光と共に爆ぜる!
周囲の者が吹き飛び煙が舞い上がる!
「やったか?」
「いや、どうやら部屋に逃げ込んだらしい。」
一人が破れたドアを指差す!
「ふん!袋の鼠だ!このまま奴を始末するぞ!」
男二人が部屋の中へと入る!静かにジリジリと追い詰めるためだ!
「ん?なんだこいつ?」
「くちゅー!」
男の足元にはハリネズミがいる。不思議そうに男が見ていると、突然ハリネズミが光りだす!
一瞬にしてハリネズミは爆発し!男達を吹き飛ばしていく。
一人は直撃、もう一人は辛うじて生きている。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、一体、どうなってやがる?」
「よう!元気かの?受け取ってくれたか?わしのプレゼント」
「テメェ、一体何者だ?はぁ、はぁ、」
「お主に名乗る名前はないの。」
パンっと銃声が鳴り響く!
「ふむ、どうすべきかのぉ?皆を探しに行くか、大将首を取りに行くか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「イテテテテテテテテテ」
頭の後ろが痛い。どうやら後頭部を思っ切りぶつけたようだ。
にしてもよく僕生きていられたなぁ。普通この高さから落ちて頭打ったら助からないだろう。日頃の行いのおかげかな?いや、日頃の行いが悪いから今こんな事になっているんだった。
頭って一番大事な部分だからね!僕だからタンコブで済んだんだろう!んなわけないか!
視界は良好だ!つまり!よかったぁ!メガネは無事だ!これがなきゃ何も見えなくなっちまうしな!それにある意味メガネは僕のアイデンティティとも言っていいしな!メガネ、イコール、ルーカスみたいなところあるし!ってそこまでいっとらんわ!
ノリツッコミしたものの虚しかった!なんだろうツッコミがいないとこんなにもテンポ悪いのだろうか。ツッコミの大切さをよく知りました。
そんな事はさておき、どうやらあの煙幕でみんなバラバラになってしまったらしい。どうしたものか、みんな無事だろうか?
ジャックは大丈夫だとして、ローザは無事でいてくれ!ローザに害がないと分かれば流石に殺しはしないだろう。せめて人質になるはず。あくまで希望的観測だけど。
美少女の死は、世界の宝の消失だ!消して行ってはならない愚かな行為といえよう!そう!僕はフェニミストです!
読者から痛い視線があるが気にしないで行こう!
そう!今は、皆を信じるしかない。僕は僕のやるべきことをやりに行こう。
「さて、また上がらなきゃな。僕がサーバー室まで辿りつかなきゃ止められないぞ。」
急がなきゃ!えっと、どうやって上がればいいんだっけ?方向が全くわからん。ここどこ?とりあえず階段で上がるんだっけ?だとしたらさっきの大広場まで行かなくてはならないのか。
ここはさっき通った場所でもない、自分の現在地がわからんな。
僕はとりあえずここから少し移動することにした。見覚えのある場所まで行ければ、階段の所までたどり着けるかもしれない。
ふと見つめた先に奇妙なドアを見つけた。そのドアはとても重々しい扉をしており、やたら厳重なロックがかかっていた。
いかにも重要なものが入ってますよと言わんばかりであった。隠したいものは常に警備の厳重なところに隠すよね!なんだか怪しいぜ!
早く上に上がらなければならないのはわかっている。でも異様に気になる!凄く怪しいな。
しかしこの探究心があれば僕はもっと勉強とか好きになったんだろうか?どうにも興味のないことには努力しづらい。でもみんなもそんなもんだろ?そうだと言ってくれ!
僕は扉に近づく。
「少し、少しさ、ちょっと覗いて何もなきゃ戻ればいいのさ!」
本当は寄り道なんかせず、すぐに上がるのが常識なんだろう。本来の目的はあくまでハルシステムの機能を停止させること!こんなところで道草を食っている場合ではないのだ!
きっと今見ている読者様も同じこと思っているはずさ!早よ行け!間に合わなくなるぞって!
でも何故だろう。不思議とここに惹かれてしまう。ここでうろちょろ動き回っても敵に見つかりそうだし、いいんじゃないかい?ダメか。
すいません。僕は昔っからそうなんです!真っ直ぐ歩けない。目的地にたどり着くまでが異様にかかる!グネグネグネ曲がってしまうんです!
何でだろう?不思議だ。いつまでにここの場所に来いって言われていても、気になる場所があったりするとどうしても見に行ってしまう!そして時間通りには必ずつけないのだ。
でもその寄り道に良さを発見したり、美しいものを見れたりすることも多々あった!
だからなのだろうか?僕はその行為がなんだか嫌いになれない。むしろ好んで行なっている。
仕事のできないタイプだろうか。凄くショックだ!でも気にしないさ、このまま突き進む事にするよ!自分らしさを!
僕はロックの解除にかかる。コードを繋ぎ侵入する。
なぁに、簡単さ!ここのアバターを瞬殺して、すぐ見て戻ればいい話さ!
それに今戻っても敵に遭遇する可能性が十分にある!もう少し様子を見てジャックと合流するのもありだろう!
ここのものが、もしかしたら重要なものかもしれない!後々、役にたつかもしれない!
よくあるじゃないか!小説や映画でも、なんでもなさそうなよくわからない部屋や物が後々とても重要だったりすること!
みんなもよく見るだろう?その可能性を信じてみよう!いや、信じたい!頼む!何かあってくれって!
さて、ここを守ってるアバターはどこだ?一体どんなタイプのどんな姿をした奴が待ち構えている?
すると奥から大きなアバターが近寄ってくる。
パターンとしては大人数で守ってるものかと思っていたが、どうやら僕の当ては外れたらしい。
守っていたのはクマのアバターであった!
しかもかなりの大きさ。森のクマさんならぬ電子の中のクマさんだ!森のクマさんみたいに僕を見逃して助けてくれねーかなぁ。なんなら助けてくれてもいいんだけど、どうだろう?助けてみないかい?
クマは鋭い目でこちらを睨みつけている。
「グオォォォォォオ!」
大きな叫び声とともに臨戦態勢になる。
まぁ、そうだよね!戦うっきゃねーよな!
図体が大きいが、大きければ勝てるわけでもない!たしかに大きい分吹っ飛びにくく、パワーもあるが、隙が大きくスピードもない!勝機がないわけでもない!
今回はお互いタイプが真反対のアバター対決だ!こちらはコンボやダメージを稼げれば勝機があるが、奴の重い一発を受けるだけで一気に形勢が変わる一発逆転型だ!相手の動きをよく見なければ!
このバトルアンドアニマルズは細かい設定が多くあり、身長、体重、スピード、パワー、テクニックなど細かな項目を自分で決めれる。なので全く同じ動きをすることは決してないのだ!
敵は格闘タイプ!僕は得意の剣術タイプで立ち向かう!
フィールドは氷海!氷の上で戦うフィールドだ!地面が滑りやすくなっており、操作を誤ると一気に吹き飛ばされる確率が上がる。
でもなんだろう、茶色いクマが氷の上にいるだけでなんだか場違いな感じがひしひし伝わる。白にして来いやって言いたくなる。
まずは様子を見て相手の動きをみよう!クマは大振りで何度も腕を振ってきた!
僕はうまくかわしながら小さなダメージを少しずつ稼いでいく。何度もクマの腹や腕を斬りつけていく。でも流石というべきか、こちらの攻撃に対してほとんど怯みを見せない。このままでじゃ時間もかかるし何より決定だがない。どうにか大きな隙を作らないと!
こちらから溜め攻撃を当てて大きく怯ませる必要があるな!
僕はクマの左側に常に回り込み、距離を取りつつ牽制を仕掛ける。
スピードは圧倒的にこちらが上!背中に周り込めれば大きな一撃を入れれるはず!
スピードを上げて回り込む!クマの背中を捉えた!
僕は剣を大きく振り上げて溜めた一撃を放つ!
しかし、氷の地面のせいでスピードが、いつもより大きく出たことにより振り下ろした位置がずれ躱される。
「クッソ!!」
クマの方もこの機会を逃さず思いっきり腹に一撃を入れてきた!
もろにヒットし、フィールドの壁側まで飛ばされた。
そこから猛突進でクマが襲ってくる。四つん這いになり全速疾走だ!これでカタをつけるつもりだ!
「フッ、やはりNPCだな、考えが甘いぜ」
あの重量であのスピードの突進、このフィールドでそんなスピード出したら、急な方向転換やブレーギなんで効くはずがない!上手く躱し奴を氷海の冷たい海へ落とせれば僕の勝ち!
問題はタイミングだ!
タイミングを間違えれば僕はあの突進に耐えられず吹き飛ばされ場外!冷たい海へ浸かることになるだろう!
こんな寄り道で時間を喰っている場合でもないんだ!必ず決めてやる!
一瞬だ!奴が突っ込んできたところをジャンプで躱す!これしかない!
僕は覚悟を決めて構える!クマが方向転換もブレーギも効かないギリギリのところで僕はジャンプした!
「タイミングばっちし!勝った!」
すると、四足歩行で走っていたクマが急に立ち上がり滑りながら僕の前を立ちふさがる!
このままだと激突して海へ投げ出される!
「クッソ!空中だと回避もできない!どうする!!!」
いや、これしかない!これで仕留めてやる!
僕はさっき当てられなかった一撃をクマの頭部めがけて剣を一気に振り落とした!
クマは受け止められず頭部にクリーンヒットし、そのまま倒れながら滑るように落ちていった!
「よっしゃー!勝ったー!ザマァみろ!この僕に勝とうなんて貴様じゃ一生あり得ないだろう!はっはっはっ!」
今、この瞬間思ったけど、僕の今の格好は立ちながらコントローラー持って勝ち誇ってる変な奴に見えないだろうか?なんだろう、、勝ったのになんだか虚しくなった。今日はよく虚しい気分になることが多いな、何かの予兆か?しかもこの状態で敵に見つかったら蜂の巣である。凄い危険な状態だった!
プシューと音がなり扉が開く!せっかく倒したんだから中を確認していこう!そもそもそれが目的で倒したんだし!
「え?」
僕は驚きを隠せなかった。扉を開けるといきなり下り階段があった。如何にも怪しい部屋である。絶対何かあるはず!
僕は怖いながらも一段一段下に向かっていった。暗い暗い闇の中を一歩一歩!これがどこに繋がっているかも知らずに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グリズリーは戦闘の音を聞き部屋を飛び出し駆けつけたつもりが迷っていた。
「うむ、ここは一体どこだ?どこに侵入者がいる?戦闘の音も止んできている。もう誰かが片付けてしまったか?」
敵を探すように周囲を見回しながら歩いていると血痕の道がある。
「こっちで戦闘があったな」
血痕を辿ってみるとそこには部下たちの死体が道端の石のごとく捨てられていた。
「なっ!全員やられたのか!?!」
一番奥の部屋まで血痕は続いておりグリズリーは奥の部屋まで追いかける。
「貴様か!侵入者は!!!随分好き勝手やってくれたな!」
ジャックは薄く笑みを浮かべながら軽快な口調で喋る!
「おーおー、やっとボスのお出ましじゃわい!ここからボス戦かの!」随分待ったぞとジャック!
「一体何者だか知らんが簡単に死ねると思うなよ!」
「わしはただの狩人じゃよ!クマ専門のな!なぁに安心せい!わしはお主を苦しませたりはせんわい!楽にしたる。クマにいいのは脳天に一発ぶち込んでやることじゃよ!」
「減らず口はあるようだなぁ!そんな鈍はすぐ折ってやるよ!見よ!!この往々しく美しいこの左腕ぉぉぉぉ!」
グリズリーは左腕を見せつける。この大きさと爪の鋭さをアピールするように。
「おいおいおい、全くもって見る目がない。それもそうか!獣畜生には刀の良さなどわからんだろう!造りは黒漆太刀拵!刃は乱れ刃!小丁子!大業物!竜胆!名刀じゃよ!」
刀は青紫色に煌めき透き通った色をしている。
「・・・・・」
「・・・・・」
お互い数秒見つめ合い静寂が訪れる。どちらも一歩も動かない。相手の出方を伺っている。
すると息を合わせたかのように両者が真正面からぶつかり合う!グリズリーは左腕でジャックの刀を受ける!両者の間に火花が散る!
「すぐにそのニヤけずらをぐちゃぐちゃにしてやるよ!」
「吠えるのは勝手じゃよ!獣の声はわしにはわからん!」
グリズリーの額に血管が浮き出る!どうやら怒りの頂点まで達している。
グリズリーは左腕でジャックをかくるふき飛ばす!ジャックは弾かれながらもきちんと体勢を取りグリズリーの右側へ回る!
「うぉぉぉぉぉぉお!」
グリズリーは大きく左腕を振り回し、ジャックに迫る!
ジャックはグリズリーの猛攻を刀で受け流している。衝撃の瞬間刀で威力を殺し右へ左へ受け流している。
「こんなものかのぉ?」
「なめるなよぉ!オラァ!」
グリズリーは何度も何度もジャックへ左腕を使い攻撃を繰り返す!
その度に受け流されていく。
「どうやら単細胞の脳筋らしいの」
「ふんん!オラァァァ!」
グリズリーは下からすくい上げるように左腕を振るう!
ジャックは刀で受け止めながらも、身体が空中に浮いてしまう。
「くっ、しまった!!」
グリズリーは不敵な笑みをもらす!
「空中では身動きが取れまい!」
グリズリーの隆々とした右腕かのラリアットがジャックの腹部へ決まる。
そのまま壁際まで吹き飛ばされる。
「グフフフッ!グフフフッ!俺様の左腕だけを警戒し、弾く事だけを考えていたようだが甘いな!空中なら身動きが取れずさらに!俺様にはこの筋肉もある!見よ!この発達した右腕を!貴様ごときの軟弱な体とは違うのだ!」
するとグリズリーの右腕から血が吹き出した!
「ぐっ!いつの間に切られた?!」
ジャックが頭から血を流しながらも立ち上がる。
「その右腕がなんだって?え!!血だらけですけど!!病院行ったらどうじゃ?お主の場合は精神科じゃがな!」
ジャックは頭から血を流しながらも挑発してみせる。
「どうやら本気で俺様を怒らせたいらしい!!その小さな脳みそをぶちまけてくれるゾォォ!」
その巨体を揺らし向かってくるグリズリーに銃を向けて発砲するジャック!
しかし、左腕で弾かれてしまう!
「無駄だ!無駄だ!無駄だ!この左腕がある限り銃も無意味!弾丸などすべて弾く!」
グリズリーの左腕が振り下ろされるが、紙一重のところでジャックは避ける!
「ギリギリだな!息が上がっているぞ!」
「ゼェ、ゼェ、ゴフゥ、ガハッ、はぁはぁ」
ジャックは吐血しながらも体勢を崩さずグリズリーの攻撃を紙一重で避け続けている。
バン!バン!と躱すしては撃って躱しては撃ってを繰り返すがグリズリーの左腕に何度も弾かれる!
「グフフフッ!どうした?こんなもんか?もう受け流す体力もないか!!グフフフッ!グフフフッ!」
ジャックはグリズリーから距離を取りつつ周りの瓦礫を触り狼に変えていった!
「行け!!奴を襲え!」
そのジャックの声に呼応して一斉に狼達がグリズリーを襲う!
「なんだ!?これは?狼!?どこから?!」
グリズリーは狼を振り払らっていく!大きな左腕が狼を蹴散らす!だが数が多く隙のできた脚や腹部へ噛み付いていく!
「クッ!邪魔だぁ!どけぇい!」
「ほら!隙だらけじゃぞ!」
ジャックの一太刀がグリズリーを襲う!
グリズリーは左腕で受けるがそのまま吹き飛ばされる!倒れたグリズリーに追撃をしに狼達が襲いにかかる!が引き裂かれていく!
切られた狼達が瓦礫に戻る!
「なんのトリックかだ知らないがその程度で俺様を倒せると思うなよ!」
ジャックは休ませることなく銃弾をグリズリーの左腕に撃ち込む!
「ふん!何度も何度も撃ってこようが無駄なんだよ!」
「・・・・・」
ジャックは高速で移動し、角度を変えながら何度も撃っていく。
その攻撃に次第に苛立ちを覚えていくグリズリー!
「無駄!無駄!無駄なんだよ!雑魚が!鬱陶しいわ!」
そう言いながら一歩一歩ジャックに近づいてくる!その足音を響かせながら!恐怖の闇はすぐそこまで近づいている。
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