第128話 カサンドラとの結婚によって

 強大なヤマト帝国とカサンドラとの結婚によて一時的ではあるが世界に平和は訪れた。

 平和は好いものだ。・・・ただこの世界には蜘蛛型生物が明確な意思を持って人類と敵対している

 

 その敵対する蜘蛛型生物に対応するためには

『富国強兵』

である、前世でも平和を手にする為に

『富国強兵』

が叫ばれた時がある。


『富国強兵』

は、今でも軍国主義を指す言葉として教えられている。

 歴史的に見てもこの言葉は毒薬であろう。

 しかし、この言葉により国が富み人々の知識の高まりから、教養の充実や健康の増進に役立ったことも事実であろう。


 特に俺が今、暮らしているこの時代では、中央集権国家で軍国主義を唱えながら世界を統一しなければいけないのだ。・・・富国強兵の根底は、豊かな国を作り、賢く健康な国民を育成することなのだから。


 インドラ連合国とヤマト帝国は共同して

『富国強兵』

と言うスローガンのもとに人造り、国造りをおこなう事にしたのだ。・・・等と綺麗ごとを並べているが本音としては宇宙からの侵略者である蜘蛛型生物の侵攻を止めるための人材を育成したいのだ。・・・究極的には戦いの為なのだが。

 人類や亜人類が暮らす多様性のある世界であるが、もう少しで蜘蛛型生物の種を植え付けられかけた俺としては殲滅したい種族なのだ。


 インドラ連合国の富国強兵、識字率の向上として、まず手始めに各国に帝立、王立幼年学校を造ってあるのだ。

 その中でも優秀な卒業生には士官学校、その先の士官大学内にも各種学部を設けて進ませているのだ。


 その幼年学校の制度をヤマト帝国にも導入しようとしたのだ。

 幼年学校の制度を導入する事は、当然の事であるが、ヤマト帝国傘下の各国や地方領主に住む住民全員の子弟には年齢がくれば帝立、王立幼年学校に入学してもらっているのだ。


 幼い子供達は、この世界は未だに労働力として父親や母親に使い潰されているのが現実だ。

 そのような子供達を救うためにも住民基本台帳を造ったのだ。

 ところが住民基本台帳に、知らなかったのか、故意か解らないが記載されていない幼子が充分な食事も与えられないまま父親や母親に労働を強制されて田畑で雨にうたれて亡くなっている事が多々あるのだ。

 そのような鬼畜のような親は捕らえられて、死刑や終身鉱山奴隷という重罪を課しているのだが、山深い地方領主の里では未だに多々あるのだ。・・・弱った問題だ。


 文章で出してもその文章を読めない領主がいる事も問題なのだ。

 プロバイダル王国では俺に反対できる有力な地方領主が全くいない。

 真正カンザク王国では俺の指示に従っていた方が領地内が発展するために反対するものがいないためにそれらの施策が導入され効果を上げていたのだ。


 文章を読めない貴族が多いために領主会議をヤマト帝国で開いた。

 直接現在問題になっている子供達を幼年学校に入れることや、関所を造らない事や通行税の撤廃について説得するためだ。

 集まった領主達には

『馬の耳に念仏』

『馬耳東風』

なのだ。


 特にヤマト帝国では上級貴族が治める地方領主や傘下の国家の反発が強かった。

 貴族以外は人ではないと思われ、住民は国王や領主に奉仕するのが当然であり、自分達が読み書きできないのに、住民が読み書きできるようになるなど本末転倒だと思っているのだ。

 弱った者である!


 ただでさえ文明文化は中世ヨーロッパ風なのだが、識字率が異常に低いため精神風土に華やかさが無く、ゆとりが無いために自分の殻に入ってしまうのだ。

 ヤマト帝国内の心ある地方領主は、インドラ連合国で真正カンザク王国側やアンリケ公国側の国々が目まぐるしく発達している様を見て、少しづつではあるが幼年学校の導入等に力を入れる者が出始めていた。


 それでも目先の儲けを求めて通行税徴収の関所を取り壊したりする者はいなかったのだ。

 そのインドラ連合国の王立幼年学校の卒業生が出始めているのだ。

 次男三男や女の子達は農奴のようにされる親元に戻らないで、屯田兵制度で将来は農地がもらえる軍人になったり、新たに出来た役場の職員になったり、商業や工業、繊維産業などの職について行った。


 王立幼年学校の卒業生で優秀な生徒が士官学校に進学する際、また士官学校の卒業生が士官大学に進学する際には俺と俺の妻達が直接面接して人物選考を行った。

 宇宙エルフ族の高度な科学技術等が直接身につけられる士官学校以上の面接では精神感応を使って、その人物の裏面まで見て選んで行ったのだ。


 士官学校と士官大学はインドラ連合国の首都に一応本校とした。

 実質的には宇宙エルフ族技師さん達等、機密を知っている人物以外は誰も住んでいないヒアリ国と三日月島の二ヶ所に士官学校と士官大学校の分校を設けて学園都市を造り上げていったのだ。

 この二つの学園都市は好きなように都市を設計して造れる研究都市であり未来都市でもある。


 ヒアリ国と三日月島の士官学校と士官大学の分校は全寮制で学生や研究者が住む巨大な都市であり、三日月島は勿論の事、ヒアリ国は砂漠と言う場所柄と魔獣や魔獣植物がいなくなったということもあり、多少危険な実験もできるのだった。


 ヤマト帝国も参加したことによって、さらに巨大国家の集合体になったインドラ連合国を統括する司法行政立法府を正式に創る事にしたのだ。

 今までのインドラ連合国は真正カンザク王国やプロバイダル王国とオーマン国の三国の連合国である。

 ヒアリ国もあるが、実質的には真正カンザク王国やプロバイダル王国の共同統治下にある国だ。

 インドラ連合国の統治者として俺が大統領等と名乗っている。

 インドラ連合国は中央集権国家であり、絶対王政とも、絶対君主制ともいわれる俺の独裁国家とも言ってもよいのだ。


 それを少し民主的にするために司法行政立法府を創る事にしたのだ。

 司法行政立法府・・・前世では三権分立と言われる。

 司法の場である裁判所と警察、検察を二つ合わせた機構。

 行政の場である内閣。

 立法の場である議会を合わせたようなものだ。

 文明文化が中世で中央主権国家としては司法行政立法府をつくりあげただけでも大変なものだ。・・・と思う!


 司法の場での裁判には前世の弁護士の地位も検察官が務める。

 はっきり言ってこの世界の識字率は最悪である。

 法律があっても読める者がいないのだ。

 法律が読める者は全て検察官になっているので、退官後に弁護士になる者も出てくるだろうが、今の段階では無理だ。


 警察は巡検士部隊が兼務する。・・・そのうちに警察機構も別に充実させるつもりだが俺の手足のように使える巡検士部隊が使い勝手が良いのだ。

 巡検士には殺生与奪の権限まであたえられ、潜入捜査等の特殊任務もこなせるエキスパートの集団で、俺の懐刀ともいえる部隊なのだ。

 識字率が低いということは、殺人や誘拐等の悪質な犯罪や半グレ集団による組織的な犯罪が横行することにもなるのだ。

 その為には部隊運用が欠かせないものになっているのだ。


 行政の場は俺が大統領・・・(それもいまのところ終身の大統領)なので、俺のブレインである妻達を各大臣に起用した。

 妻達の中には女王としての勤めがある者もいるが、それは二人の副大臣を起用して急場をしのげるようにしておいた。・・・いざという時は転移魔法が使える俺や俺の妻達、転移装置もあるので何とかなるだろう。

 最悪の場合影武者のアンドロイドを使うという手もあるからだ。


 立法の場では、インドラ連合国に参加する各国の宰相を集めて、司法行政立法府の議員となってもらうことにしたのだ。・・・当然、俺や俺の妻達も議員の職にあるのだ。

 その他には監視役としてインドラ連合国に加盟する各国の首長による王族会議を設けて、各国の王本人か代理、次期王である皇太子や王太子が務める事になったのだ。・・・二院制への足掛かり!

 国民は議員を選ぶだけの識字率を持っていないので、今のところは各国の宰相にお願いしたのだった。


 司法行政立法府の設置場所は今までの通り、南カンザク地方にあるインドラ連合国の首都に設置した。

 司法行政立法府の長官は俺で、副長官には真正カンザク王国の宰相さんともう一つの席は空位にして、今後ヤマト帝国が正式にインドラ連合国に参加した場合はヤマト帝国の第二宰相さんに就いてもらうことにしているのだ。


 司法行政立法府の置かれたインドラ連合国の首都はカンザク山岳地帯の谷間で、その入り口には城塞都市が守る。

 首都である王城の三方をカンザク山岳地帯の山肌が迫り、王城はその山と一体化しているのだ。

 首都の王城は、本当に、その山の中まで刳り貫き王城を形作っており、その最深部に司法行政立法府や王族会議の場所が造られたのだ。

 その場所は前世の核攻撃でも耐え忍ぶことができそうな場所だ。

 蜘蛛型生物への戦いの準備が着々と進んで行くのだった。

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