俺転生したの
いのさん
第1話 前世 俺の死と誕生 栞との出会い
俺は今、光の塊となって宇宙空間を飛んでいる。
俺の前世の名前は宇藤太郎という、当時死ぬ前だが地球の日本I県K市で鍛冶師(刀工)見習いで大学を卒業して2年目だ。
俺がこうなったのもあの女の子、いやもう女の人との出会いにある。違うな俺がドジなだけか。
俺の親父は警察官で、俺が中学校2年まで村の駐在さんだった。昇任したとかで俺達はK市に転勤した。
俺の親父は剣道馬鹿という程の人物で、俺は兄貴や姉貴と一緒に剣道をやらせられた。兄貴や姉貴は超出来物で、国立の一流大学を優秀な成績で卒業し、一流の大手の会社に就職した。
俺は三人の中でも落ちこぼれで、親父は俺が剣道さえしていれば学校の成績など片目どころか両目もつむってくれた。母親...母親はそんな訳にはいかない。俺の顔を見るたびに勉強しろ、勉強しろと口うるさい、その母親はK市の大学病院で看護師として仕事をしており、田舎は嫌だとK市の自宅に兄貴や姉貴と暮らしていたので、俺は親父について駐在所ライフを満喫していた。
親父は単身赴任かというとそうではない、親父の一番上の兄貴、伯父の所にいた母親つまり俺から見ると御祖母さんと暮らしている。この人は怖い。多少勉強なんかできなくても怒られることはないが、親父に剣道の朝稽古に連れていかれるときそれが嫌だとか、眠い、寝ていたい等と言おうものなら薙刀をもって追い掛け回される。何とタフな御祖母さんだ!
おかげで俺は強い(自慢)。
親父の転勤で駐在所ライフも終了し、俺はK市の自宅に戻り、御祖母さんも伯父の所に戻った。当然ながら俺は自宅近くのK市立の中学校3年に編入する。この中学校の剣道部に入部するが、弱い。俺は親父に頼んで警察署の朝稽古に参加したり、I県立やK市立の武道館で一般の人に混じって稽古した。
編入時、彼女は中学校1年に入学し剣道部に入部してきた。名前は神崎栞、長い黒髪を白色のリボンで縛り、白色の剣道着に赤胴を着けた美少女で格好はいいが、弱い。
でも頭は良い、才色兼備の女の子だったと思う。その時は俺も親父に似て剣道馬鹿で、剣道が基準だったから...。
俺は県内でもトップクラスの進学校に入学できた。この学校は成績アップの為か、試験上位100名の名前を掲示する。当然俺の名前は無い。無いどころかクラス担任に呼び出されて、学年350人中の最下位グループでベスト10入りだと言って怒られた。当然母親は怒るが、親父は俺の味方?で
「この高校で剣道の実績があれば警察官になれる。」
と言って笑っていた。
俺は高校でも剣道部に入部。弱!当然、団体戦では俺だけしか勝てない。個人戦、顧問の先生の考えで3年生の引退試合と言って出させてくれない。
顧問、弱い、剣道2段で段を持っているだけで顧問になったような人だ。
高校生になり剣道の突き技が解禁された。入部初日顧問と稽古で立ち会ったとき、突き技で転がしてしまった。これもいけなかったのか、それ以来目の敵だ。
突きといえば、高校生になり一般稽古に行った初日"神崎”という鬼瓦のような顔をした先生に突き技で転がされた。屈辱だ!その先生とはよく稽古をお願いした。
あれ神崎...?鬼瓦が?とその時は思っていた。
俺が高校3年生の時、神崎栞が入学し、剣道部に入部した。未だに栞の剣道は弱い。しかし、入学当初の学力試験で学年トップ!すげえな、俺、聞くのも野暮、2番でもビリから。
3年になって顧問が替わった。剣道7段の爺だ、爺でも強い!
爺が顧問になった初日、俺は爺と稽古した。立ち上がって『さあこい!』と思って前に出た瞬間、あれ天井が見える。空を飛んでいる。爺が出頭をとらえて突いたのだ。
その日以来、爺と血反吐を吐くほど稽古した。稽古の稽の字は犬がヒ日、本当に犬のように這い蹲されて、ヒ~ヒ~言わされた。
爺は他の人には優しい、いや甘い、栞にはいいタイミングで上手に打たせている。偶には俺にも打たせろ、ヒェ~また突いてきた。俺も合わせて突くが、少し遅れたドスンと突かれた。
今年は、団体戦はそこそこいい成績で、爺のおかげで個人戦で全国大会にも行けた。全国大会は初戦から九州勢が続き、3人目で力尽きた。おかげでいろんな大学の先生から声をかけていただいた。
帰宅した翌日、高校剣道部の部活からは卒業した。ちょうど祭りの日だ。神社に全国大会に行けたこと等のお礼ついでに祭りに出かけることにした。
ブン・ブン・ブンと蚊トンボか、暴走族か、五月蠅いのが来ていなければいいのだが。やっぱりいた阿保面した男が長い黒髪を赤いリボンで縛った。浴衣の女の子にナンパしている。
いきなり阿保面男が女の子の浴衣の襟を引っ張って
「ちょっと来いよ。」
と言う。女の子が振り払おうとした弾みで、浴衣から女の子の白いブラジャーがこぼれ出て見えた。女の子と目が合う栞だ。その時もう俺は、阿保面男の浴衣を持つ手の親指を握りこむようにして押さえる。阿保面男が
「痛ッ!」
と言って襟を放す、その勢いを利用して逆手に回して投げ飛ばす。
俺は栞の手を取って走ってその場から離れる。少し走って、栞が乱れた浴衣の胸を押さえながら、ハアハアしている。カワイイ超カワイイ。
俺と栞の出会いだ。
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