第22話結局は…

冷たい目で見られてきた、嫌なことをされてきた。

けれど人は信じていたい。

もしかしたら、という甘い蜜に浸かっていたい。

それは底抜けに善人であるのか、それともこれ以上不幸にならないために自分が自分に無意識に作り上げた嘘なのか。

「舞い上がった、失敗した。嫌な顔をされなかったから、普通に接してくれたから。故にいきなり家にまで呼んだ。ああ、なんて愚かなんだろう。私」


「呼ばれたことで自分は傷つけられないとばかり思い込んでいた、友達のように振る舞えた、何事も無く過ごすことが出来た、何も苦痛はなかった。故にノコノコとついて行った。俺はどうしたらいいのだろう」


「「ああ、真実を問うのが怖い」」


互いに互いで勝手に傷ついているだけ、お互いトラウマがあって、けれど今回ばかりは敵では無いけれど、どっちに転ぶかは五分五分で。その1歩を踏み出す勇気もなくて。

やっていることは己で己を傷つけるだけの愚かなトラウマの抉り合いはたから見たらそんなもの。


当事者ともなれば無意識に刻み込まれた恐怖は底知れず。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る