夕映えに雑踏は音も無く 〘詩篇〙

坂井 傑

今宵、風と満ちる。

あなたは 小さな傷に戸惑って

星屑に 正直になる

流れる風も 密やかに

明るい硝子瓶を 海へと還そうか

互いの謎を 詰め込んだ瓶を

今宵は きっと風の涙が

蒼く満ちる時間の中で

抱き締めるあなたの瞳から

降るだろう

帰らないのでは 無く

帰れない ぼくたちに

教えてくれそうなのは

恋に揺れる 三日月だけだった





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