第41話 偽りの熾天使《セラフ》
───1時間後。
あれからかなりのスピードで敵を殲滅していった。
目的のヴァーチャーも先程の鬱憤を晴らしたかったカルマとニケの餌食になり、一切の反撃を封じられボコボコにされていた。
魔力の回復は時間に任せるしかないので、ふたりとも魔力なしの物理アタックのみだ。
「格下が無駄に戦意を見せるな!粉々に砕いてやるぞ貴様達!」
目を真っ赤に光らせて滾る怒りで荒れ狂う姿は、正に鬼神の様だった。悪魔だけど。
『二度と主様に無様を見せるわけにはいかないのです!潰れなさい!!』
ニケも、あの地獄の番犬並みに咆哮をあげて強烈な前足で敵を潰していく。
面白いほどペッタンコになってから灰になっていく様は、敵ながら哀れだった。
結果、依頼の数を大幅に超えて討伐した。
そしてついに20階のボス部屋にやってきた。
やはりここまでは驚異と感じる相手には出会さなかった。
しかしボスまで雑魚とは思えない。
なぜならここのボスは、
と、言っても本物ではなくそれを模した何からしいが。
「さて、どんなのかな」
俺はコピーとはいえ、初めて見るあの
入る前に各自補助スキルを発動する。
最近使うことの多かった
ちなみに各種魔法は、
「アークホーリーシェル!」
輝く光が全員の周りに薄い膜を作った。
これで、神聖魔法と光魔法に耐性がついた。
「ビーストコマンダーⅣ!デーモンコマンダーⅣ!スピリチュアルコマンダーⅢ!アニマブーストⅢ!」
あの時と同じく最高のブーストを掛ける。これだけでMPが半分になる。
「神聖術スキル…〈天啓〉!」
今度は、スキルの方を使う。
これで全員のステータスが上昇した。
うん、そろそろMPカツカツだ。
リンと、シュウも武技を発動したようだ。
カルマとニケも、補助魔法を発動したようだ。
黒いオーラと青いオーラで包まれた。
「よし…行くぞ!」
ギギギギギギッ…と扉が開いていく。
中には、4つの魔法陣。
その上には金色のエンジェルが磔にされていた。
「どう言うことだ??」
ここに来て最下層の亜種が出現し磔にされている。
理解に苦しむ。
しかし疑問はすぐ解消されることになる。
『我が主に刃を向ける愚かな人の子よ。我が主の命により、汝等には試練が与えられる。もし、我等の写身に勝利擦ることが出来たなら、汝等には我が主へ挑む道が開かれる。…さぁ、見事に勝利してみせよ!!!』
一方的にまくし立てられ唖然としてると、ドーーーーーンと音と共にエンジェル達に光が落ちた。
そして金色の灰に成り果て、それが新たな形に変化していく。
まるでマネキンのようなモノがその場に出来上がった。
その後すぐに魔法陣が光る。
その光に包まれてマネキンの姿が更に変化した。
そこに現れたのは4人の大天使。
透かさず
虚像の熾天使ウリエル ランクS 種族:熾天使 HP4800/4800
虚像の熾天使ガブリエル ランクS 種族:熾天使 HP5800/5800
虚像の熾天使ラファエル ランクS+ 種族:熾天使 HP7800/7800
虚像の熾天使ミカエル ランクSS 種族:熾天使 HP12800/12800
マジか。
偽物でこれなのか。
特にミカエルがヤバイな。
だがここを抜けれなければこの先は無い。
取り敢えずみんなに情報だけ伝えた。
つかギルドで聞いたときは、ランクSSなんて居なかったはずだけど?
まさか俺らの時だけとかなのか?
「カルマ、ニケ!落ち着いていくぞ!弱い方から一体づつだ。バラバラになるなよ!!」
「承知」『分かりました』
ふたりはすぐに返事を返す。
「「了解!」
リンと、シュウも身構える。
「あいよー、俺は下がってアイテム用意しておくから、必要になったら即言ってくれ」
ガントも手際よく準備を行った。
「リンとシュウは、ミカエルからの攻撃に気をつけろよ。当たれば、無事では済まないからな!前には出るな!」
「「はいっ!」」
「ニケ、ウリエルにブリザード!」
ニケに、氷系精霊魔法を撃たせる。
『分かりました!凍てつくがいい!』
ウリエルを凍てつく氷が纏わりつく。
「カルマ!闇系魔法で追撃!」
無詠唱で呼び出した魔法陣が、ウリエルノ周りにいくつも浮かび上がる。
呼び出されたシャドウジャベリンがウリエルの羽根を散らしていく。
『小癪な、ニンゲンどもめ。喰らうがいい〈断罪の炎〉!』
地面に落ちたウリエルは、崩れる事なく着地し手に持つ炎の剣を俺に向けて振り下ろした。
「うおっと、あぶなっ。っう、あっちいっ!!」
ギリギリで躱すがその熱だけで火傷を負った。
すぐさまヒールして回復する。
剣を振り降ろした隙を見逃さずにニケが強襲した。
魔力を纏ったツメでウリエルの背中を切り裂いた。
『ぐぁはっ、この卑怯者め!』
すぐさまに剣を横薙ぎに払い反撃するが、既にそこにはニケは居なかった。
入れ替わりにカルマも後ろ脚に闘気を纏わせ、全力キックをお見舞いする。
ウリエルはそのまま吹き飛び壁に激突した。
謎なのは他の熾天使達は一切動きを見せ無い事だ。
嵐のような攻撃の連続とはいえ攻撃は出来る筈だが全くして来ない。
『下等なニンゲン相手に無様な。写身とは言え、まだまだ未熟也』
ミカエルが蔑んだ目でウリエルを見下す。
どうやら全員で相手をする気はないようだ。
これなら勝機はある!
「畳み込むぞ!おらぁっ!!」
全速力で移動しウリエルの胴に双剣で斬り込む。
さらにバックステップで離脱しながら
着弾と同時に内部で氷が爆発する。
『うぐぁっ!!』
『そのまま、絶えなさい。〈氷爪〉!』
ニケは起き上がる隙も与えずに、氷属性の中威力スキルの氷のツメを突き刺した。
続けざまに青いオーラで作られた羽根を無数に撃ち込む。
「さらばだ」
カルマが作り出した魔法陣がウリエルの体を包み込んだ。
発動した炎魔法エクスプロージョンでドドドーンっと大爆発を起こし、ウリエルの体を粉砕した。
「まずは、一体!油断せずにいくぞ!」
HP0なのを確認し残りの3体の方へ向き合った。
『中々にやるようですね。しかし次はどうでしょうか?ラファエル、ガブリエル。…行きなさい』
ここからが正念場だ。
2体の
『『さぁ!天の裁きを与えましょう!!』』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます