第20話 サニアの町へ

 ~ここまでのあらすじ~

 ライの依頼を受けて幼い冒険者のシュウとリンを救出し、そのままケルベロスが支配する地獄の塔を攻略したユート達。

 ついに新しい町へと到着したユート達は、ギルドへ向かうのだった。


 ───

 やっと最初の町、サニアの町についた。


 サニアは西大陸の中では、辺境にあるにも関わらず、冒険者が多いことで有名な町らしい。


 理由としては、さっきまでいた地獄の塔がだったり、堀に行った鉱山だったりが冒険者に人気のダンジョンだからだ。


 他にも廃墟になった旧王都の城とか、その地下に作られた迷宮ラビリンスとか、沢山のダンジョンがある。


 難易度もランクC~Aまでを対象としていることが多く、比較的裕福な冒険者が集まることもひとつの要因となっている。


 そのため、ここのギルドも支部の割には立派な建物になっていた。

 俺たちは、まず先ほどの依頼の結果とついでに、地獄の番犬ケルベロスを討伐したことを報告しようと思いギルドへ足を運ぶことにした。


 ギルドへは、俺とガント、シュウとリンの4人で来た。

 同行していたライとサナティは、途中すれ違った仲間を迎えに行ったので、報告はあとで自分たちでするようだ。


 別れる前に、おススメの宿屋も教えてくれた。

 後ほどその近くの酒場で合流する約束をして、見送った。


 厩舎に他のペット達が転送されてくるのは明日の予定なので、厩舎も明日でいいだろう。

 一応、宿屋にも馬小屋があり、魔獣達をつないで置ける場所がある。

 

 ギルドへ到着した。

 ここは町の中心地でもある。


 中に入ると、夕方なのもあり報告に来ている冒険者がわんさかいた。

 一通り見渡して見たが、俺もガントも知っている冒険者はいないようだった。


 早速、報告するためにギルドの受付カウンターへ行く。

 ヘルキャットの巣では素材は灰になってしまったが、その前に入口付近で倒した数だけで20匹くらいにはなっていた。


 当然素材は回収してあるので、リンとシュウが報告するのには問題ない。


「あ、リンちゃんシュウ君お帰りなさい!もしかして、もう終わったの?!」


 ギルドの受付嬢らしい女性が、二人を見つけて駆け寄ってきた。

 二人がまだ幼いこともあり、心配してたのだろう。


「ミルバさん、こんばんわ!はい、そうなんです。こちらのユートさんとガントさんに手伝ってもらって、なんとか終わらせることが出来ました」


 リンとシュウには今後の依頼に影響が出るので、罠に誘い込まれて死にかけた事を伏せておくように言っておいた。

 所謂、処世術というやつだ。


 生きるためにはを、綺麗ごとを置いておくのも必要なことだ。


「あなた方は、…初めて見る方ですね?ギルド登録されている方で?」


 ミルバは、俺らを値踏みするように見てきた。

 だが、そんなことはお構いなしにさらっと答える。


「う~ん、昔に登録したはずなんですが、しばらく更新してなかったので…再度登録し直そうかと思って来たんですよ」


 営業で鍛えた、爽やかな笑顔で答えた。

 ガントの胡乱な表情は強靭な精神力でスルーだ。


「あと、こっちのガントも同じく登録し直してくれないか?」


 ガントは驚いた表情でこっちを見てくる。

 そういやガントにはカルマから聞いてる、この世界の事については話してなかったな。

 リンとシュウにも話を聞きたいし、あとで飯でも食べながら話をしよう。


「お前もコッチじゃ、登録情報が古いはずだ」


 取り敢えずやってみれば分るよと言いながら、ミルバに案内させた。


「シュウ、リン。ちょっと登録しなおしてくるから、報酬受け取っておいてくれ。終わったらそこら辺にいてくれ」

「はい、分かりました!」「りょうかーい」


 と、二人から返事を貰ってから、登録するため奥の部屋へ入った。


 二人とも同じパーティーだからということで、同時にやることになった。

 一応拒否すれば同席出来なく出来るが、ガントに知られて困ることは特にないので承諾する。


「では、始めますね。右手のステータス紋をこの魔法のプレートにあてて、魔力を込めてください」


 まずは、俺からやる。プレートにてを添えて魔力を流し込んでいく。

 そうすると、ギルド職員の目の前にあるプレートに文字が浮かび上がっていく。


「ええと…ユートさんのステータスは…え??これ、本当!?」

「何か、問題でもありました?」

「いえっ。あの~、評価ランクSって出てるんですが…」

「はい、その通りですけど?」


 ミルバは、え?って顔で止まっていた。


「だから、Sランクのテイマーなんですけど?」


 えええっ!!と、その場にいた職員全員が叫んだ。

 いちいち大袈裟だな~。


 ちなみに、表示されたステータスは以下の通りだ。


【基本ステータス】

名前:ユート 年齢:41歳 性別:男

ランク:Sランク 職業:調教師テイマー

 HP:1800

 MP:1500

 SP:1400

 STR(腕力):600

 VIT(生命力):600

 INT(知性):500

 SPD(俊敏性):300

 MGC(魔力):500

【習得スキル】

 動物調教アニマルテイミング:130

 動物知識アニマルロア:145

 獣医学バラナリー:140

 双剣術デュアルソード:105

 弓術アーチャー:100

 戦闘術タクティクス:105

 魔法術マジカル:110

 神聖術セイクリッド:90

 降霊術ネクロマンシー:80

 扇動者インスティゲーター:80

 指揮者コンダクター:80

【派生スキル】

 神秘術ミスティック:100

 生命学バイオロギー:100

 司令コマンダー:100

 魔獣支配ビーストルーラー:100

 悪魔支配デビルルーラー:100

 天使支配エンジェルルーラー:60

 不和誘導フレンドリーファイア:70

 蘇生術リザレクション:80

【従者】

 カルマ:悪魔族ナイトメア/ランクS

 ニケ:精霊族ファルコニア/ランクS

 フィア:魔獣族フレイムキャット/ランクA

 クロ:悪魔族デーモンウルフ/ランクA

 ゲンブ:幻獣族カーゴタートル/ランクB

 ピューイ:竜族ウインドドラゴン/ランクB

 シロ:魔獣族ホワイトファング/ランクB


 と、こんな感じで表示されている。


 自分で確認するステータスと相違無いので、なかなか優秀な魔法アイテムだな。

 仲間ペット達も、ちゃんと登録されている。


 …あれ、なんかクロだけ種族変わってるんだけど?…これは、もしかしなくてもカルマの仕業だな。

 相変わらず、裏で何やってるんだアイツ。

 怖くて聞けないけど。


「ええと、ユート…様?お、おめでとうございますっ。

 いま、正式にSランク冒険者と認識されましたので、こちらをお持ちください。

 先程は大変失礼な態度をとり、ほんとうっに申し訳ありませんっっ!」


 ミルバは小さな金色のプレート付のネックレスを渡すと、土下座しそうな勢いで謝ってきた。

 このプレートには、この世界の言葉で"Sランク”と書かれているようだ。


 この世界にも土下座ってあるのかな?とかどうでもいい事を考えながら、まぁまぁ分かってくれればいいよ、と宥めるのだった。

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