第100話 甘見早苗


そんなわけで今回は私、甘見早苗のお話です。



もう予想は付いてたかな? 五十話のときはみやちゃんだったもんね。


ああっ、そんなに警戒しないで。

暗くなんてならないから。


だって私のお話だもん。ふつーの中学生のふつーのお話。



みやちゃんは可愛くて、頭良くて、性格良くて、

しかもおうちもお金持ち。


クラスどころか学校の人気者で、先生たちからの評判もよしよし。


それはいろんな話があって鹿るべきだろうけれど――あ、字を間違えた。背伸びをするとだめだね。これじゃあお煎餅食べそうだね。



そういえばかくかくしかじか、のかくってどんな動物なんだろう。



まっ、いいや!

ちょっと話が逸れちゃったけれど、それはそれとして、私のお話にいっちゃおう。


何にも変わらない、昔の私のお話。





ちなみにこれはね、あとから聞いたんだけど、ちょうどしらちゃんとみやちゃんが出会ったくらいのことらしいよ!


それではお話へご案内。










――――――



「大人になればわかるようになる」



 ホームルームの時間、先生が優しい声音で黒板の前でそう言った。


 どういう話の成り行きで言ったのかは興味なかったし、確か勉強の大切さどうこうとか、宿題の必要性どうこうだった気がするけど、どうでもよかったからすぐに忘れた。


 一生懸命聞いてもどうせ忘れちゃう。みんなも話半分というか私語はないけど、真剣には聞いてなかった。

 はいはい、宿題やればいいんでしょーみたいな感じ。



 でも一番前の席で頬杖をついていた私はそうじゃなかった。




 きた、ずるい言葉。


 私にとってその言葉は本当にずるかった。


 お酒も、タバコも、勉強の大切さも、学校の素晴らしさも、

 全部全部大人になるとわかるらしい。


 だったら早く大人になりたいよ。何にもわかんないもん。



 よし、大人になろう!


 こうして私の大人チャレンジが始まった。










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