新型コロナウイルス
竹梅
新型コロナウイルス
この作品はフィクションですが僕が想像する事実です。
また犯罪を助長するものではなくむしろ止めたいがためとご理解ください。
ああ、遠くでサイレンが聞こえる
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「本日、ジパングでのコロナウイルスによる死者が1万人を超えました。政府は緊急事態宣言の発令を正式に決定する模様です。」
テレビから流れてくる男性アナウンサーの落ち着いた声はまるでこのウイルスは彼に関係のないものだとでも感じているようだ。
「ふざけるなよ…」
僕はそう言ってスマホをテレビに投げた。テレビにはヒビが入る。しかしアナウンサーは傷を負ったその顔で変わらない声色で話し続ける。それは目の前で倒れている人間にも言えることだった。
1ヶ月ほど前、2度目の外出自粛要請がなされた週末。僕の友達からパスタパーティーの誘いがあった。自粛しているから家から出ないと言ったら、じゃあ家に行くよと言ってきた。2時間後大量のパスタを持ってうちに6人の人間が尋ねてきた。
その2週間後、僕と知人3人の体調不良者が出た。それだけではない僕の家族と知人4人の家族の容態も悪くなった。そして僕の親は熱を出した。市役所に連絡しPCRをしてほしいと言ったら感情にない声でこう言われた。
「熱を測って37.5以上であれば自宅待機をお願いします。4日間熱が下がらないようならもう一度御連絡ください。」
4日後体調は悪化し僕も知人の家族も熱を出した。病院で親の陽性が確定し、入院することになった。
「2週間以内に接触した人を教えてください。」
ヘラヘラ笑う大人が聞いてくる。もちろん親は家から出ていない。接触した人なんかいないはずだった。僕の知り合いの6人を除いて。
2人目の高熱患者が出た知人の父親だ。3日目で死んだ。司法解剖の結果、新型コロナウイルスによる肺炎だった。そこで知人はパスタパーティーの時にあった人とその後行ったクラブ、キャバクラ、ストリップバーの名前をあげた。
濃厚接触者の数は2週間で100人以上に上り、36人の感染者が見つかった。普通の風邪だと思い熱も測らず会社に行っている人もいて、このクラスターはジパング全てに及んだ。
結果として僕の両親、知人の親ら5名、知人1人を新型コロナウイルスに殺された。しかし関節的の原因は全く症状の出ていない知人だ。
この知人はクラスター爆弾魔、殺人鬼だとネットに情報を晒され普通に生きていくことができなくなった。死んだ友人から恨まれてる幻聴妄想に怯えて苦しんでいた。
流石にかわいそうになった。だから救ってやった。肺を指してゆっくりと苦しめるように。
「警察のものですが、」
僕に構う暇があるならコロナをどうにかしてくださいよ国家権力。或いはそれを広げてる人間全てを殺人未遂で監禁してくださいよ。
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ここまで読んでいただいてありがとうございます。これは僕が想像する1ヶ月後の未来です。もっと近いかもしれないし来ないかもしれない。
僕が捕まらないように。或いは同じような復讐者が出ないように。外出を控えてくださる人が増えることを切に願います。
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