第14話 「旅路」





雨が降り頻る夜の中

苦しくて涙して

悔しくて涙して

悲しくて涙して


月が静かに佇む夜の中

助けてと手を伸ばし

逃げたいと声を落とし

もう全部いいやと気を手放し


薄暗い部屋の中でひとり

膝を抱えて夜に溶けるようにしていても

いずれはこの夜にも終わりが来て

そして朝がやってくる

朝日に責め立てられるようにして

部屋の扉を開ける

そうして背を丸め

足を引き摺りながらも歩いていく



それしか出来ないかのように

この道しかないかのように



ふと見渡した世界は

雨が上がることを知らせるかのような

白映えの景色に満ちていて

なんとなく

この道の先に光を見た気がしたんだ


あの夜を終えた

新しい朝を迎えた

苦しくて仕方がないと泣いた心は

未だに消えないけれど

それでも

それでも、と今日も歩いていこう






いつかきっと報われる夜が来ると信じて










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