第三話 キャラメイクしてみた。(後)
ECCにはスキルの種類に『一般スキル』と『技・魔法スキル』と呼ばれるものがある。
一般スキルは誰でも取得可能な補助的スキル。最初は五つまで選ぶことができる。そして色々な条件を満たすことによって、スキルは増えていくらしい。ただ、一般スキルにはスキルポイントを割り振ることはできないので、自力でレベルを上げていくしかない。
取りあえず最初の五つは、事前に情報を見て決めていたのでさっさと選ぶ。
続いて技・魔法スキルと言うのは、
例えば剣士であれば『回転斬』などのスキルを選べても、魔法使い専用の『火魔法』などは選べない。それぞれのクラスが取れる専用のスキルを選んでいくしかない。
まぁ、私の選んだ魔剣士クラスであれば、『回転斬』も『火魔法』も取得可能なのですがね。
とはいえ、だ。
私は『回転斬』などの剣技スキルを取得するつもりはなかった。
なぜならECCでは大抵の技スキル――特に剣技スキルはプレイヤースキルで再現が可能とされているからだ。もちろん再現は難しく、適正クラスでなければ剣すらまともに触れないらしいけど、わざわざスキル欄を潰してまで剣技を習得する必要性を感じなかった。
格闘ゲームで散々ならしたのだ。プレイヤースキルには自信がある。
「あれ? 技・魔法スキルの欄って、八つじゃなかったかな?」
ネットと拾った情報と違い、技・魔法スキル欄は五つしかなかった。なんだか三つ損した気分だけど、決めていた八つの中から三つ削って選択する。
『――以上のスキル選択で間違いないですか? YES/NO』
少しだけ事前情報と異なっているところがあって違和感を覚えたけど、一応スキルを選択し終える。そしてYESを選べば長かったキャラメイクも終わりに差し掛かる。
『最後に、あなたの名前を教えてください』
本当に長かった。まだ始まってもいないのに、このゲームをやり遂げたような充実感に胸を膨らませつつ、格闘ゲームで使用する名前を打ち込んだ。
『プレイヤー名≪キョウ≫は既に使用されています』
「ほげっ」
終わりかと思えば、まさかの名前被り。これだからオンラインゲームって奴は。仕方ない、別のを……。
『プレイヤー名≪イカ≫は既に使用されています』
『プレイヤー名≪カイ≫は既に使用されています』
『プレイヤー名≪ウキョウキョ≫は既に使用されています』
だぁっ! なんでだ? 最後のはもうネタで付けたのに、なんで登録されてんの?
なら、伊海田杏子のきょうこを読み変えて……。
『プレイヤー名≪アンズ≫でお間違いないですか? YES/NO』
「なんで、ウキョウキョは駄目で、アンズは良いの?」
釈然としない気持ちになりながらも、ようやく名前被りにならなかったようだ。嘆息しつつ最後のYESを選択する。
『すべての項目を選び終えました。この内容で登録すると通常は変更できません。変更するには現実世界での通貨による手数料がかかります。変更したい方は三日以内に手数料を支払い、再度キャラクリエイトを行ってください。三日を過ぎますとログインID取得からの手続きとなり、先行サービス開始期間ではプレイできません。詳細は説明書かヘルプ画面をご覧ください 続行する/中断する』
うへ、そんな仕組みなんだ。
いや、説明書に書いてあったけど流し読みしてたから詳しく分からなかったんだよね。単純にキャラを作り直すには課金が必要なんだって思ってたけど、三日以内にしないと第一陣でプレイできないってことか。
うーん……でもこれ以上いじるところもないし、「続行する」っと。
『データを読み込んでいます。そのままお待ちください……データの登録を完了します。そのままお待ちください――データを登録しました。以下があなたの初期登録情報です』
少しの間があって、私の目の前に銀髪紫眼の私が表示される。
名前:アンズ LV.1/100
種族:ヒューマン
クラス:魔剣士 LV.1
スキルポイント:0
HP 30/30
MP 20/20
攻撃力 15(+5)
防御力 10(+10)
敏捷性 10
命中力 10
魔法耐性 12
賢さ 12
一般スキル
『鑑定LV.1』『気配察知LV.1』『忍び足LV.1』『採取LV.1』『使役LV.1』
技・魔法スキル
『火魔法LV.1』『水魔法LV1』『土魔法LV.1』『風魔法LV.1』『回復魔法LV.1』
称号 オプション効果を表示する ▽
『二兎を追う者』
武器・装備 説明欄を表示する ▽
武器
『木の棒』レア度:E 品質:―― 耐久値:―― 効果:攻撃力+5
装備
『布の服』レア度:E 品質:―― 耐久値:―― 効果:防御力+5
『布のズボン』レア度:E 品質:―― 耐久値:―― 効果:防御力+5
さて、あとは開始時間を待つだけかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます