第44話 再会
結局その日に先輩を見ることはなかったがあの人のことだ。きっと見てくれたんだろう。そんな気がしてならない。次会ったらお礼を言っておこう。
ところで、今俺が何をしているのかというと...。
「おーよしよし。よく頑張ったなー。」
「はぁぁ...落ち着く~。」
絶賛お構い中。しかも帰り道、ど真ん中で。
そんなに人はいないといえど数少ない視線が突き刺さる。
無論、もの凄い恥ずかしい。場所変えたい。道のど真ん中じゃなければどこでも良いから。
恥ずかしさに身悶えながら辺りを見渡すと近くに良い感じの公園を発見。誘導を試みる。
「ち、ちょっと場所変えよう?あそこで構ってやるから、な?」
「いいよー。」
すんなり誘導に成功。外でこういうことするのは恥ずかしいが道の真ん中でするよりはマシ。
公園内のベンチに二人して座る。
「次は絶対劇なんかしたくないー!」
こんなに駄々をこねる有希乃を見たのは初めてだ。
それに有希乃って結構こういう人前で何かするって得意そうに見えたんだがむしろその逆だったようだ。そういえば第一希望は裏方だったような。
「おーそうだなー次は劇以外が良いなー。」
適当に相づちを打っておく。
まぁ劇以外というのは俺も賛成なのだが。
「もーやだー!」
有希乃はそう叫ぶと同時にごろんと俺の膝に頭を乗せてきた。いわゆる膝枕状態だ。
「い、いやなにしてるんですか!」
「なんで敬語...?」
俺としたことが驚きのあまりついつい敬語を使ってしまった。
「お願い、少しこのままでいさせて?」
「あ、ああ...。」
特に断る理由もないのでそのまま同意。
というかそんな小悪魔みたいな笑みされたら断れんよ。
「...」
「...」
しばらく沈黙が続く。
すると有希乃がゆっくりと起き上がった。
「んん...!はぁ、落ち着いたー。」
「そうか。よかったな。俺で良ければいつでも膝を貸すぞ。」
後伸びするのやめてもらっていいすか。横からもの凄い膨らみが見えるので。
「そろそろいくか。」
「そうだね。」
そう言って立ち上がるが公園の入り口辺りに見覚えのある人影が。
とてつもなくイヤな予感が俺の中を駆け巡る。
「え...。」
「やぁ、また会ったね。」
謎の男がまた現れたのであった。
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