第30話 ハイブリッドな夢
ある日、心地よい朝の陽気に照らされて目を覚ます。
「う~ん...。もう朝か...。」
「おはよう。起きた?」
「えっっ!?」
――が、自分の目を疑うような光景が。
まだ寝ぼけているのだろうか?そう思い目をこすったり頬をつねったりしてみるが何も変わらない
俺は確か昨日ちゃんと自分の部屋で寝たはずだ。そもそも部屋に俺以外の人間がいることがまずおかしい。
それなのに目の前の人物は俺に挨拶をしてきた。とりあえずその人物に話を聞いてみないことには何も分からない。
俺は恐る恐る聞いてみることにした。
「えっとこれはどういうこと...?有希乃?」
「何寝ぼけてるの?早く起きないと仕事におくれちゃうよ。」
「え?仕事って...。」
「ほら、もう朝ご飯できてるから早く顔洗って着替えて食べて。」
そう言って有希乃は俺の部屋から出て行く。
周りを見渡してみると俺の部屋と似ているが少し違った感じがする。
「ここ...どこだ?」
壁にはいつも制服が掛かっているはずの所に謎のスーツが。
勉強机には教科書の代わりにたくさんの書類と思しき物がずらり。
「どうして...大体今は夏休みのはずじゃ...?」
考えても仕方がない。有希乃が怒る前に早く行かねば。怒らせたら大変なことになるというのはついこの前知ったところじゃないか。
急いで用意してリビングに行く。
間取りはうちとほぼ...というか全部同じだ。
「やっときた~!用意するのにどれだけ時間かけてるの?」
「ご、ごめん。いただきます。」
うん。おいしい。
じゃなくて有希乃のエプロン姿可愛い。
でもなくて一体何が起こっているのかまだ把握できていない。
え?俺どっかの時代に飛ばされた感じ?そうなの?
「そ、そのユウ君...?もしかして昨日の夜の疲れが残ってるの?」
唐突な有希乃の爆弾発言に味噌汁を吹きかける。
「うっっ!き、昨日の夜何があったんだ?」
「それを私の口から言わせるの...?」
そんな顔を赤らめながら言わないでくれ!絶対なんかあったじゃん!
え?嘘だよな?嘘だよな?お願いだ!嘘だと言ってくれぇぇぇぇぇぇぇ!
「一回しか言わないからよく聞いていてね?」
「い、いや!やっぱり言わなくて良いから!し、仕事行ってきます!」
と適当な理由を作ってこの場から勢いよく退散しようとするが...。
「...!ドアが開かない!?」
途端ヒヤッとする感覚が俺の背を伝う。
「ダメだよユウ君。人の話は最後まで聞かなきゃ。」
なんだこれ...動けない...。
誰か...助けてくれ...。
お願いだ!誰か助けてくれ!
助けて助けて助けてたすけてたすけてたすケテたすケテタスケテタスケテ――
「がはっ!!」
俺は汗だくになりながら勢いよく起き上がった。
そこは俺の見慣れた家の風景だった。
「はぁ...はぁ...夢か...。」
本当に夢で良かった。
しかし途中まで良い感じだったのにいきなりホラーになるとかよく分からない夢だったな。二度と見たくないわ...。
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