アベノマスクは無意味じゃない&志村けんはキリストである
結城藍人
第1話 アベノマスクは無意味じゃない
安倍首相が全戸に布マスクを配布するという政策を発表して大批判を受ける……というか、どちらかというと呆れられているのですが、これ無意味な政策だとは思えないんですよね。
そもそも、マスクというのは、市販品の最高性能マスクであろうと「着用者の感染を防ぐ効果は無い」というのは学者先生の方々が指摘しているところです。だから欧米では「意味なし」と言っていた。
その一方で、最初期から「感染者が着用することで他人にウイルスを飛沫感染させることは防げる」という指摘はありました。
例えば、元横綱の朝青龍氏が、マスク着用国と非着用国の感染者数を一覧にして「マスクには意味があるんじゃないか」と指摘していましたね。
それで、最近になって欧米の学者先生が意見を変えているんですよ。要するに「着用者にウイルス感染することを防ぐ効果は無いが、無自覚の保菌者を含む全員が着用することで感染拡大を防ぐ意味がある」って。
その一方で、使い捨てマスクは品薄状態が続いていて、フル稼働で生産を続けても、医療関係などに優先配布すると、とてもじゃないが全国民に行き渡らせることはできない状態です。
Web上に投稿された漫画の中に、おじさんに「何でマスクしないんだ」と言われた女子高生が「売ってないんで」と答えたというのがありました。
だから、全国民(と在日外国人)にマスクを配布しようという政策は、決して無意味ではないんですよ。「無自覚の保菌者からの飛沫感染を防止する」程度の役割なら、洗って再利用できる布マスクで充分役に立つんですから。
ただ、安倍政権って致命的に国民(と諸外国)に対する説明能力が足りないんですよね。
「急拡大するマスクの需要の抑制を図り、国民の皆様の不安解消に少しでも資する」って言い方だと、まるで「このマスクを着けて安心してください」って意味に思えるじゃないですか。そうしたら「安心できるか!」って反応になるのは当然かなと思います。
ちゃんと「マスクを着けるのは無自覚の感染者が他人に感染させるのを防ぐため」「それなら布マスクで足りる」「感染拡大を防ぐために、配布した布マスクの着用をお願いしたい」と要点を説明しなきゃいけないんですよ。
それで、この政策ってのは、その前の「クラスター対策」政策が前提なんですね。
この前、ようやく安倍首相も説明しましたが、日本の新型コロナ肺炎対策ってのは「クラスター」を発見して、そこから派生する感染を防ぐという方法なんですよ。
希望者全員を検査するには検査能力が足りない。ただ、ここは補えるんですよ。問題は、希望者全員を検査した結果、無症状や軽症の陽性ウイルス保持者が大量に出てしまうと、それらを全員医療機関に隔離すると病床数が足りずに医療崩壊を起こすんです。
だから、明らかに新型コロナ肺炎と分かる重症患者が出た場合のみ、その周囲に検査を行ってクラスター感染のみ撲滅するという方法をとってきた。それで、何とか抑え込もうとしていたわけです。
ただ、この方法だと「無自覚の感染者」「軽症の感染者」は水面下で大量に発生している可能性が高いというのは多くの識者が指摘しているところです。
今まで、その「無自覚の感染者」「軽症の感染者」からの爆発的感染拡大が無かったのは、新型コロナウイルスに対する警戒感から、多くの人が自発的にマスクを着けていたからかなと思えます。ただ、そのマスクもそろそろ家庭在庫などが切れ始める頃でしょう。我が家も在庫が心許なくなってきています。
ここから先、いよいよ「爆発的感染」に近い重症者の多発と、それに伴う無症状感染者および軽症感染者の大量発生が想定されるようになってきたので、「無症状感染者および軽症感染者は病院以外の宿泊施設や自宅で隔離」を認めるように方針転換を行い、同時に再利用できる布マスク配布を行おうとしたのかなと思います。
だから、この政策が無意味だとは思えないんですよ。問題は、この政策が「何で必要なのか」「どういう効果があるのか」について、国民に全然伝わってないことで。
初期には散々批判されていた「重症者以外は検査しない」方針が、のちに多くの国民から支持されるようになった(孫正義氏が自腹で検査キット購入を表明したときに大批判されたのは、韓国の医療崩壊を見て、この政策の意味に多くの国民が気付いたからだと思います)ように、あとになってから「あのマスク配布、意外に役に立ったんじゃね?」という評価に変わる可能性はあるかなと少し思っていますが、そもそも今の時点で説明が下手すぎるんですよねえ。
あと「セコい」「みみっちい」という批判については、まあしょうがないかなと(笑)。せめて「収入急減家庭には30万円支給」の政策のあとで発表しようよ……。
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