ようこそ、我々の学園都市へ
困難人形
第壱話 我々が評議会だ
雨が降り続ける中、一人の男が全力で走っている。否、男の表情を見るに何かから逃げているようだ。
「はぁ…!はぁ…!」
男の体力はもう底についている。だが、足を止めるわけにはいかないのだ。そうして裏路地に逃げ込む。ここは土浦地区、駅の近くなため、道は多い。ここまで逃げれてくればもう大丈夫だろう。男は足を止める。
「もう追いかけっこは終わりですか?」
男は、すぐに後ろに振り向く。底には、黒い外套に身を包んだ若い女が立っていた。
「それとも…」
逃げようと思い反対側を向く。しかし、もう遅い。反対側にも彼らはいたのだ。
「
男はその場で諦めたように笑い、膝から崩れ落ちた。
「田中裕也、C級犯罪人として指名手配がされているため、評議会の命により逮捕します」
「は…ははっ…もう、何もしねえよ…」
若い女は耳につけていた無線機で話し始めた。
「C級犯罪人の確保に成功しました。これより私は本部へと帰り、対象の管理は地区管轄の議員に任せます」
「了解、ご苦労様でした、黒豹」
黒豹と呼ばれた彼女はそのまま夜に溶けて消えていった。
地区管轄の議員二人が小声で話す。
「先輩、彼女は何者なんですか?」
「知らないのか?彼女の名前は黒豹。評議会幹部の一人だよ。」
―――あの議長の右腕ともいえる存在だよ―――
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