4.頼み事

ー4.頼み事ー



「あなたにはこの世界でやってほしいことがあります」



話を聞いてやることにしたらこの自称神様(幽霊)はこう言ってきた



「やってほしいことだと?」


「はい、この世界の国についてはご存知ですか?」


「ああ、幾つかの国家に分かれてるってのは知ってる」


「ではその国々が近々大きな戦争をしようとしていることは?」


「…は?俺はこの世界に来たばかりだぞ、そんなに詳しいわけないだろ」


「あ、す、すいません…」



いかんな、寝れなくてかなりイライラしてる


もっと普通に行こう


……なんかこの自称神様(幽霊)もかなり豆腐メンタルっぽいし



「この世界にはかつて魔王がいました」


「それは知ってる」


「その頃はどの国も魔王を倒すために力を合わせて戦っていたので問題はなかったのですが……」


「………勇者が倒した…と」


「ええ、数十年前に勇者が魔王を倒し、世界は平和になったのですが、同一の目標を無くし、国々の主に軍部なんですが、衝突が最近多くなってて、このままでは大きな戦争になってしまう……そんな状態になっています」



………随分ヘナヘナな団結力だったようだな



「おいおい、一応国家なんだろ?なんでそんなにどの国も周りといがみ合ってるんだ?」


「どの国も覇権が欲しいようで……『あの国が世界統一するくらいなら』って感じで……」



戦国時代かな?



「なるほどな、国同士がピリピリしている理由はわかった。んで本題に戻るが俺に頼みたい事って一体?」


「それはですね…」



そう言うと自称神様はこう言った



「あなたにはこの世界に散らばった『この世界にある筈のない兵器』達を集めてもらいたいのです」


「………へ?」



どういうことだ?


恐らくこの世界にも兵器があるのはわかるが、『ある筈のない』というワードがわからない



「つまり……どういうことだ?」


「魔王との戦争時にある召喚士がある魔術を使いました、その魔術は『異世界から兵器を呼び出せる』という強力なモノでした」



確かにそれは強力だ


魔王が憐れに思えるぜ



「それで召喚されたのが、貴方のいた世界の兵器達でした」


「………それは強力だ、対魔王戦も余裕だったんじゃないか?」


「……そういう事もなかったです」



それは、どういうことだ?


俺の世界の兵器でさえ倒せないほど魔王は強力だったのか?



「刀、ボウガン等の使い方はわかっても、大砲の技術さえ最近出始めたこの世界では大半の兵器の使い方がわからなかったのです……そのせいで用途不明の兵器は大陸全土に不法投棄されるようになりました」



おぉう……まさかの使い方がわからず捨てたときたか


バラして資材にでもすればよかった物を…



「その兵器達はいわばこの世界にあってはならない『異物』です、その除去をお願いしたいのです」


「あるだけなら無害だろ、何故集めなきゃならないんだ?」



動かないのであれば彼等はただの無害な鉄塊だ


危険なモノじゃない


動かす者が危険なんだ



「いえ、そうも言ってられません、先の戦争で召喚された兵器達はコピー品でも『向こうの世界の物』です、この世界のものではありませんので『リンク』が繋がったままなのです」


「『リンク』?」


「はい、要は未だに向こうの世界の所有物なのです、ですのでこのリンクを何らかの方法で切らなければ、互いの世界が近づきすぎて悪影響がでてしまいます」


「なるほど、んでその方法ってのは?」


「兵器を解体するか貴方がその兵器に触れる事で所有権が譲渡され、リンクが切られます」


「なるほどな……」



まとめよう


・先の戦争で魔王に勝つために俺の世界の兵器達が召喚された


・しかし今頃大砲がようやく開発され始めたこの世界の技術レベルでは到底理解できる代物ではなく、使えなかった


・あるだけでも大きくて邪魔な上、頑丈な為解体することもできず至るところに放置されている


・しかしその兵器達はコピー品とはいえ別世界の兵器…元の世界との『リンク』が切断されておらず、このままでは互い世界が近づきすぎて悪影響が出てしまう


・これを解決するには兵器を解体するか、俺が触れて所有権を俺に移し、リンクを切らなければならない



こんなところか



「だが、集めるといっても大陸全土を生身で歩くと確実に寿命が足りる気がしないし、もし棄てられたのが大型兵器だとしたら輸送方法が無いぞ、そこはどうなってる?」



「ちゃんと策はありますよぅ…あなたにはある『能力』を与えました」



……ん?能力ですと?



「何の能力?」


「えっと、『名前または姿を覚えている物体を造り出す』能力ですね」



………チートじゃね?



「つまり、記憶にあれば何でも造れるってこと?」


「はい、そうなんですが、名前で造り出す場合はその物体の『正式名称』を、想像で造り出す場合は『外観及び内部』を知っている必要があります」



…………レパートリーが八割消滅した



「ですが、」



続きがあるらしい



「多分無理そうですので、名前を想像したらその名前に該当する物を造り出せるようにしました」



レパートリーがだいぶ復活した



「つまりあれか?輸送機でもなんでも造って運べ…ということか、てかもしかしなくても大量の兵器造ってヒャッハー、ってのもできるのか」


「一応可能です」



マジでチートじゃん


てか、俺にも物質召喚の能力を与えてもいいのか?



「但し…」


「ん?」


「造りだす際に一度貴方の元の世界に検索をかけるので、脳に多大な負荷が掛かります、なので最初は強力なモノが造れません。そしてやりすぎると多分死にます」


「」



リスクがデカい……



「でも、負荷が大きすぎて危険な状態になると頭痛が発症するので安心してください」



「そうか。なら安心だ」




その後少しこの神様から能力の説明を受けた



やれやれ、面倒な事になったな……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る