第157話 ダンジョンとマミヤ

 俺はダンジョンコアに触れ 、ダンジョンの所有者を俺にした。

 そしてマミヤに触れダンジョンの贄から解放した。

 マミヤは一瞬ビクンとなったが、直ぐに 自分がダンジョンから切り離されたことを理解したようでかなり驚いていた。


 聡太「 俺がソニアも解放したんだ。君はもう自由だ。とはいっても長い間ここにいただろうから、知っているものは年老いているか亡くなっていると思う。なので今後どうしたいか決まるまで俺の屋敷で 過ごすといい」


 理由は分からないが、まみやは自分が何年このダンジョンにいたのかが 分かったようで 、ただただ頷いていた。


 まだ子供とはいえ そう言った事が理解できる年だったからである。

 かわいそうだとは思うが 自ら選んだ事でもあり、俺達がこの世界に来る遥か昔の話の出来事だ。 俺達ができるのは当面この子の面倒を見て、この子が一人立ちできる歳まで、いや、一人立ちしても家族として帰ってこれる居場所を提供し、自らの生きる術の道筋をつけてやらねばと思う。



 幸い俺達のところにはギルドマスターと国王がいる。

 国の為に自らを犠牲にしたこの子を全力でバックアップしてもらおうと思う。

 この後は速やかに変異による等は対応しなければならない。そんな場所にマミヤを連れて行くわけにはいかない。必然的に屋敷に置いて行くので、屋敷に残る者たちに託してやらねばならない。 マミヤは特に荷物などは持っていなかった。

 今着ている白いワンピース それのみだった。

 俺が壁に手をつき、扉よ開けというように念じると扉が開き、マミヤの手を引き扉を作るのであった。


 扉をくぐると俺の仲間達が いた。


 ボス部屋の端に何か動きを感じるので、見渡すと驚いた事に床が修復され、綺麗な状態に端の方から中心に向かって自動で修復されていくのであった。


 俺が心配していた部屋がどなるのかというようなことは 、他のフロアを見たわけではないが 、ダンジョンの自動修復で治っていくのであろうと確信した。



 そして皆の元に戻り


 聡太「みんな、この子がソニア同様このダンジョンの 生贄になっていた女の子で、 マミヤって言うんだ よくしてやって欲しい」


 そうすると 女子が一斉に マミヤを抱き寄せたり頬擦りしたりして 可愛いとか、おいでおいでとかしてもみくちゃにされて歓迎されていた。



 そしてようやく解放されたマミヤの元にソニアが向かって行き


 ソニア「あなたも私と一緒でダンジョンの贄になった子ね 。よろしくね。私マミヤさんのお友達になりたいの。ソニアっています 」



 そして驚いたマミヤが


 マミヤ「あのあなたが伝説のソニア様なのですね!失礼しました。私は、マミヤっていいます。よろしくお願いします」


 そんな感じで挨拶が始まり、 同じような境遇からだろうか、家族の事やダンジョンから解放された後の経緯などを話し合っていた。


 マミヤには現状を受け入れるのに時間が必要ではあるが、話が一段落するまで見守っていた。


 ただ天然なのか、世界樹や屋敷がどうなっているかというのを伝えないソニアである。

 俺の方を見てサムズアップしているところから世界樹のことを言わないでほしいというようなジェスチャーをしているように感じた。

 そして バラムがマミヤの手を取り跪き


 バラム「 聖女マミヤ様お初にお目にかかります。私はこの国の国王をしておりますバラムと言います。この後滞在されるのは聡太殿の屋敷になり城の方でもどちらに滞在なさっても構いませんが、きちんと居場所を確保致します。私達はあなた様に大変大きな恩義があります。今は混乱なさっていると思いますので落ち着いた後に詳しい事をお話し致します。あなたの安全と今後についてはあなたの希望を 汲み取り最大限支援させて頂きます。今日のところは ソニア様のいらっしゃる聡太殿の屋敷に逗留されるとよろしいかと思います。」



 マミヤはきょとんとしていた。自分が聖女様などと呼ばれたからである。ソニアの事はマミヤも聖女として認識している。

 そう、自分がそのように呼ばれているとは思ってもみなかった。世の中から見るとソニアもマミヤも国の為にダンジョンに身を捧げた 聖女として大陸中の伝説となっていたのである。


 今は生きる伝説になってしまうようになってしまったが、伝説の聖女ソニアと同じ扱いを受ける、ましてや目の前にいるソニアは自分よりも年下である。

 そう、思っていたのと違ったのである。

 色々脚色されているが、ソニアの事は 幼い子供ではなく美しき女性として語り継がれており、マミヤの認識では自分よりも三つか四つは年上だと思い込んでいたからである。


 落ち着いたようなので、俺は皆にダンジョンがこの60階層までだったのと、俺がダンジョンマスターとしてこのダンジョンの所有者になった旨を改めて伝えた。


 取り急ぎ 40階層までのボス部屋の設定を本来の設定に変えたのと、ダンジョンにて死亡した者の設定を一つ目のダンジョンと同様に一番軽いものにしたのであった。


 そしてダンジョンコアを回収し、ダンジョンを引き上げ 座敷に 向かうのであった。

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