第3章

第108話 最初の街で禁断の恋

 俺達は国境を越えてから二時間程で着くであろう最初の街に寄ると目標を定めていた。国境近くには国境警備隊の家族やそれを相手にした店があり、宿が数軒ある特殊な村が有ったが余りに国境から近過ぎる。出来る限り国境から離れたく村には立ち寄らずひたすらまともな大きさの街を目指していた。


 やがて街が見え皆安堵した。


 一応この国はクラークの8割の国力で国の名前はオニールだ。


 街は今までの街と大差はない。違いは海が近く海産物が豊富な事だ。

 先ずは宿を確保する。馬車があるので必然的に大きな宿になる。

 その日はかなり混んでいて高級宿の一番高い部屋しか空いておらずベッドが足りないので布団を持ってきて貰いその部屋で全員過ごす事となった。部屋は金貨30枚と通常の中級宿の10倍以上する。モナも含めはしゃいでいた。普段モナは皆とつるまず、ずっと俺の側を離れずにいるのに珍しかった。

 3階建ての一番上のフロアでこのフロアには部屋が2つしかない。

 大きさは普通の宿の部屋の4倍はある。

 風呂も豪華で別に要らないが魔石がセットされていた。

 寝室は3部屋ありベッドは3つづつある。

 そんな豪華な部屋だ。岩揺るすいスイーツじゃなく、スイートだ。


 モナがいるので高級宿でも困らない。ステータスカードを見れば一目瞭然だ。S級冒険者など滅多に見ないし、高級宿に泊まってもおかしな話ではない。

 これからの事を考えると節約をしたいが、追われている重圧から開放されたのだ。勿論まだ油断は出来ないが今まで程節約や自重は必要ないだろう。


 食事は部屋に運んでもらった。

 何かのフルコースだったが、皆テーブルマナーが駄目だった。今後の課題だなと先の事を考える事をしたりと俺も少し余裕が出てきた。


 俺は少し疲れていて、はしゃいでいる皆を見届けベッドにダイブしていた。そして急に殺した兵士の恨めしそうな顔を思い浮かべて震えていた。そして吐いていた。今までは盗賊など殺して当然の奴ではこうはならなかった。今回は命令に従って攻撃してきた罪のない兵士を殺したのだ。心が被名を上げていてきつかった。

 俺が苦しんで泣いている所に誰かが来てそっと後から抱きついてきた。後から聞いたがミーナ達が送り込んだのだった。


 俺は思わず抱きつき大いに泣いた。優しくその胸に抱き寄せられた。


 ミーコ「ごめんね。ごめんね。君があの戦闘を苦しみながら無理矢理対処していたと気が付かなかったの。こんな事位しか出来なくてごめんね。私は教師なのに駄目ね」


 聡太「どう駄目なんだ!?皆を一生懸命一つに纏めていて凄いと思うよ。俺なんか敵を倒す事に逃げているのに。いつも助かっていて感謝しているんだよ!」


 ミーコ「駄目ね私は教師失格よ。だって君の事好きになっちゃったんだもん。愛しちゃったんだもん。君に抱かれたいんだもん。学校で君だけは私を庇ってくれたでしょ。悪乗りした男子が私の身長が小さい事をからかっていた時や、本気か分からなかったけど、校舎の影に引きずり込まれそうになった時助けてくれたのは聡太でしょ!?愛しているの。改めて言うわ。私を貴方の妻の一人にして!もう気持ちを抑えられないの。この世界に来て良かったと思ったの。向こうだと君と私、生徒と先生の関係で君に愛してもらえないんだもん。実はね私はこういう世界に行って聡太と一つになりたいと思っていたら実現したの!勿論偶然よ。もう隠さなくて良くなって安心しているの。愛してる!」


 聡太「俺も愛しているよ。朋美のお陰で俺はダンジョンに皆を残して街に行けたんだ。お前がいなきゃこうやって逃げられなかったんだ。お前が欲しい。先生じゃなくて一人の女性として俺の側にいて欲しい!愛している。俺の妻になってくれ!朋美が必要なんだ!俺の朋美!」


 そして唇を重ねる。もうお互いその気持ちを抑えられなかった。隣の部屋に皆がいて、多分こうなると分かっていて朋美を俺の所に送り出したのだろう。声が聞こえるかも!?構うもんか。

 朋子は体は小さいがちゃんと大人の女性の体だった。幼く見えるのは体格ではなく顔付きと身長だけだった。あと服装・・・


 そうして少し前まで先生と生徒だった二人の本来であれば世間から認められない禁断の恋が一つの結論を出す。一つになり結婚すると言う禁断の結末。

 俺達はこの厳しい世界で生き抜くと、幸せを掴むと心に誓いやがて眠りに落ちていった。





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