第26話 宿と夕食へ

 ギルドを後にし教えられた宿に向かう。

 宿が多くある宿屋街だ。


 その中で一際目立つ3階建ての立派な宿だ。

 1階は食堂とカウンターがある。まあよくある造りだ。と思う。宿と食堂がセットになっている所が殆どとリリアが言っていたからだ。


 受付に行くとリリアが任せてと言い宿泊の申し込みに行く。

 何やら話し込んでいた。俺の方をチラチラ見ていて受付の人と話し込んでいたのが気になる。二人分で1泊2万Gだから取り敢えず7日分申し込むというので、了承した。というか金銭感覚がまるでないから所持金から判断せざるを得ない。


 部屋の鍵を持って颯爽と俺の腕を取り腕を組みながら階段を登っていく。

 よく見ると鍵は一つしか持っていないっぽい。

 もう一つをどうしたのか?と思っていると3階の部屋に着いた。

 鍵を開け、手荷物や装備をなにげにテーブルの上に置く。

 部屋はダブルベッドが一つあり、机と小さなテーブルーと椅子が二脚だ。

 入り口には剣を立て掛けるのだろうスキー板が置けそうなスペースがある。

 部屋の大きさは25㎡位だ。小奇麗で小さいながら風呂場がる。脱衣場はないので風呂場か部屋で着替える。そんな感じだ。


 リリア「じゃあさくっと準備してエミリーさんを迎えに行こ!」


 聡太「あの、リリアさん?もう一つ部屋は?」


 リリア「え?勿論1つですよ?2つも部屋を使うなんて贅沢ですし、そんな余裕は無いですよ?私達は2人でこの部屋は2人用ですよ!何か問題が?」


 聡太「俺が君を犯すかも分からないんだよ?未婚の男女が一緒の部屋って間違いが起こるだろう?」


 リリア「聡太様はそんな事をしないでしょ?どうせ私よりエミリーさんの方が良いんでしょう?何よあんなにジロジロ見て。どうせ私にはエミリーさんの程の魅力が無いんでしょ!?」


 聡太「どうしてエミリーさんの話になるの?確かにリリアのいる前で見ちゃったけど、あの耳が気になってさ?あれ本物?それとも飾り?」


 リリア「えええ!?エミリーさんの事気に入って見とれていたんじゃないの?胸もジロジロ見ていたでしょ?」


 聡太「確かに胸元が気になったけど、彼女わざと見せてるでしょ?俺の反応か、俺の反応を見たリリアの反応を楽しんでいる感じだったな。俺は確かに胸元を見てたけど、それよりあの耳だよ耳!ねえどっちなの」


 リリアはぺたんと座り込み乾いた笑いをする。


 聡太「俺もリリアの前で無神経だったけど、ひょっとして焼いてるのかなああ?」


 リリアの平手打ちが飛んできた。


 リリア「聡太なんてもう知らない!このバカあああ!」


 泣いてしまった。


 俺はそっと抱きしめ


 聡太「またもやリリアの早合点だね。俺が好きなのはリリアだけだよ。エミリーさんの事は俺綺麗な女性だなとは思うけど、リリアがいるのに流石に一目惚れは無いぞ!。俺は今日床で寝るから心配しないで。それとようやく聡太って呼んでくれたね」


 リリア「駄目!聡太を床になんて寝かせられない。私の事を襲っても良いのよ?」


 聡太「何故だ?君はそんな尻軽女じゃないだろう?何があった?焦っているのか?」


 リリア「だってそうでもしないと聡太はエミリーさんの元に行っちゃうでしょ!?もう私には聡太しかいないの。一人にしないで!」


 聡太「ねえ落ち着いて。俺はリリアの事をちゃんと見ているよ。リリアを愛してるからめ」


 リリア「ふふふ!言質取りましたよ!私の事を大事にしてね!別にエミリーさんの事も好きになっても大丈夫よ?彼女だったらね。私もお友達になりたいのよね」


 よく分からないが俺から愛していると言わせる為の演技だったらしい。


 夜は一緒のベッドで寝る事になった。俺耐えられるかな?今の所相思相愛っぽいけど、まだ一線を超えちゃいかんと心が警笛を鳴らしてるんだよな。今はまだ。彼女は俺と一緒にいたいらしい。幸恵さんが亡くなり、心の拠り所がもはや無く、頼れるのが俺だけだから俺を繋ぎ止めようと必死なのだろう。そんな不安定な状況の彼女の心につけ入り抱くなんて俺の倫理官が許さなかった。


 それはともかく機嫌の良くなったリリアに引っ張られエミリーさんの所に向かうのであった。頼むから地雷を踏むような発言が無いことを祈りつつ・・・

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