第24話 ポルテの街へ

 村から隣街へは数時間で行ける。王都からだと早朝に出て夕暮れ位に着く位置関係だという。

 何故王都じゃなくて隣町に行くのかはダンジョンがあるからと言うのだ!

 ダンジョンだよダンジョン!異世界だなってちょい興奮する俺だ。

 王都との中間位で、旅人が昼休憩に寄るのが俺達の居た村だ。

 道中他愛もない会話をしながら歩いていく。特に急ぐでもないし、懐も余裕があるわけではないのでのんびりと徒歩で向かう。馬車は贅沢だとなったんだけど乗ってみたかったんだよね。


 のんびりとした草原地帯を舗装のされていない道が通っている。

 主要街道だけあって道幅こそ広く、バスが対向できる道幅だ。

 道の状態から文明レベルが地球と比べ大きく劣っている事が感じ取れる。


 考え事をしていると獣が出てきて俺は気が付かずに噛みつかれる所で、リリアが咄嗟に俺に飛び掛かり避ける事ができた。だがしかし、リリアの肩に爪が当たり怪我をしてしまった。

 俺は剣を抜き、ファイヤーボールで牽制し、奴が驚いた暇を付き前脚を切断した。のたうち回っている獣に剣を突き刺しなんとか倒した。これが初戦闘なのだが、レベルから既に戦闘経験はある筈だった。その為か殺す忌避感は無かった。

 蹲っているリリアに近づき、ヒールを使わなきゃと何故か思い、肩に手をかざしてヒールと唱えるとすーっと傷が消えていった。何故使えるのか分かったのか不明だが、実用レベルで使える回復し手段があると分かり、リリアは驚き感謝してきた。

 俺も不意を点かれて助けて貰ったお礼をし、血はクリーンで綺麗にする。後で縫わなきゃねとぼそっとリリアの心の叫びが声に出ていたりする。

 リリアに言われて倒した獣の心臓付近にナイフで切り込みをを入れ、そこから手を突っ込み魔石を抜く。死体は収納に入れてギルドというのに着いたら換金するというので、収納に入れていく。


 魔石があるから魔物だったようだ。よく見ると頭に角がある。

 獣型の魔物には角が有り、心臓の横に魔石がある。魔石を冒険者ギルドに出せば換金してくれるのと、死体も買い取ってくれるというので、収納に入れたんだよね。

 道中に冒険者の常識的な事を教えてくれた。

 美少女との会話は楽しかった。真剣に話をする彼女の横顔がドキッとするような大人びた表情の時があるんだよね。


 俺が時々リリアの顔を見つめているものだから、顔を赤くし照れながらも俺を叱る。


リリア「あの聡太様?私の話をちゃんと聞いてるの?大丈夫?私の事を見てくれるのは嬉しいのだけど、さっきのようなのはもうゴメンですからね!いいですね?」


 ?おかしいなと思い始めた。尊敬する存在から、もう世話の焼ける人ね的な言い方に変わってきているなと思い、そろそろ呼び方を変えてもらうかと思って提案をする


聡太「なあリリア、俺達歳も近いのだしそろそろその聡太様と言うのをやめないか?聡太って呼び捨てで良いんだよ!」


リリア「で、でも勇者様を呼び捨てだなんて」


聡太「俺も怒るよ。リリアは俺が勇者だから一緒にいるの?聡太という一人の男として見てくれないのか?俺は一人の聡太という人として見て欲しいんだ。勇者というよくわからない人じゃないんだ」


リリア「ご、ごめんなさい。べ、別にそ、聡太さんが勇者じゃ無くても一緒にいたいもん」


 半分涙目のリリアと向き合い目が合い見つめ合う。リリアは上目遣いで見てから目を瞑ってきて、いい雰囲気だ。

 多分キスを求めているのだろうと思いつつ、まだ早いよな?でもキスしたいなと少し葛藤してから、顎をそっと掴み上を向かせる。多分唇にキスされると思うだろうけど、俺もがっついていないと格好を付けたくてそっとおでこにキスをする。我慢したよ!偉いでしょ?

 期待はずれなのか期待以上の行動だったのか予測外だったらしく、唖然とするリリアに


聡太「取り敢えずさんでいいけど、俺は呼び捨てにして貰える距離感になりたいからそこん所よろしくな。じゃあ行こっか」


 そう言うとリリアはちょっとムスッとしつつも俺の腕を取り腕を組んできた。

 リリアの匂いがというか石鹸か石鹸の代用品の匂いなんだろうけど、少しドキッとした。腕に伝わる胸の感触がドキドキ感を強くする。思春期違真っ盛りなんで女の子のちょっとした行動にドキドキするんですよ。


 リリアは分かっているの分からないのか取り敢えず嫌われていない事だけは確かなので、焦らずじっくり向き合っていこうと思っていると、街が見えてきたのであった。

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