昔僕は大きくなりたかった

小さい頃、僕の周りは女の子ばかりだった

だって、僕は小さいし周りの男の子って

乱暴で、力が強くて、がさつだったから


小学校に上がっても大差なかった

けど、女の子にも乱暴な子は居て

頭使うし、小さい僕は力でも負けるし

数で押されると反論すらできない

高学年で男子と遊ぶようになったら

余計に差がはっきりと分かるんだ


大きくなりたかった


中学で多少背が伸びても

高校で少しだけ背が伸びても

男子としては小さくて

女子と比べると大きい

そんな位置だった


そしてそれから一切背も伸びず

体重もほぼ変わらないまま

大学生になって


頑張って走って、筋トレして

体力は付いたけど

筋肉はろくに付かなかった

欲しかった身長も一切伸びなかった


でもね

男としてなら低いけど

女としてなら高いんだ

声も男としてなら高くて

女としてなら低いんだ

そうほぼ中間なんだ


そして社会人になり

僕は僕じゃないと気づき始めて

そして僕は私になり始めた頃


僕がずっと嫌だった事に

私は初めて感謝しました


身長も、肩幅も、声も

全部中間くらいでした

ただ胸だけはちゃんと育ちました

これは不思議でしたけど

その結果体型も女性寄りになりました


そして私になった今では

この幸運に感謝しています

人生って何が幸いするのか

本当に分からないものです

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る