スタンピートの前

月の導き亭から走って来た僕は冒険者ギルドについた。

中に入ると、




「スタンピートなんて初めてだろ」




「どれくらいの魔物が来るんだ?」




などの疑問の声や、




「おい!そっちはまだか?!」




「回復のポーションと魔力ポーションはありったけ持ってこい!」




などの戦闘準備のため声を張り上げる者などがいた。

すると背後から僕の肩を誰かが叩いた。




後ろを振り向くとギルドマスターのダリオスがいた。




「ダリオスどうしたの?」




「レイ、ちょっとついてこい」




ダリオスに言われた僕はダリオスの後について行った。




向かった先はギルドマスター室だった。




中に入ると冒険者が三人いた。




「こいつらを紹介しよう。この三人はBランクパーティーの紅の光だ。左からドレイク、カイン、セナだ。レイ、今回お前にはこいつらと一緒にスタンピートの発生地である魔の森の方へ行ってもらう。いけるか?」




あれ?右の女性だけ耳が尖ってる。もしかしてあれがエルフかな?




すると真ん中に座っていた男、カインが



「ギルドマスター本気ですか?強いやつがいるとは聞きましたけどこんなガキですか?しかも魔の森に行くのに子供を連れて行くなんて自殺行為でしかない。」




するとダリオスは、




「カイン、お前は俺に一対一で勝利できるか?」




するとカインのとなりに座っていた女性、セナが




「できるわけないでしょう。私達はパーティーでBランクに上がった。それに比べてあなたは一人でAランクに上がった。そうすると必然的にパーティーでの連携で強くなった私達は個人の力よりパーティーとしての連携能力が高くなる。だから勝てないわ。

それでダリオスなぜそんな意味もない質問をしたのかしら?

まさかその子がダリオスに勝ったとは言わないわよね?」




セナの言葉を聞いたダリオスが、




「その通りだ。レイはカール、白雷の推薦で冒険者になった。推薦のとき普通は他の奴に任せるが白雷からの推薦のときた。アイツがどんな奴を推薦するのか興味があった俺はレイと戦った。そして、負けた。言葉通り手も足も出せずにな。完封されたってわけだ。」




ダリオスの言葉を聞いた三人は驚いた表情をしている。すると、




「ねぇ、あなたも歳をとって冗談を言えるようになったのね」




「セナ、俺が冗談言うわけないだろ?」




「知ってるわよ。しかも私の種族をなんだと思ってるのかしらエルフよ、その子の魔力量普通じゃないわ。あなたが手も足もでない理由がわかったわ。魔法をろくに使えないあなたじゃ、魔法で遠くからやられたのかしら?」




「セナ、違うぞ純粋な身体能力勝負で負けたんだ、こいつ、レイは白雷より速く動くからな。ちなみに白雷も勝負して負かされたらしいぞ。俺と同じように手も足も出ずにな」




「はぁーあなた達を教えたときも異常だと思ったけど、それを超える子がいるとはね。」







「レイの話についてはこれぐらいにして本題に入るぞ」

















「今回のスタンピートの原因は不明、だが今回はスタンピートが近々来ることが予想されていた。」




そこにカインから質問が飛んだ。




「ギルドマスターなんでスタンピートが発生するって予測がついたんだ?」




「それはここにいるレイのおかげだ。こいつが王都に来る前に魔の森の浅いところでキングボアを狩ってきたんだ。」




するとセナが、




「普段は絶対に魔の森の深い場所にいるはずのキングボアが浅いところにいた、だからスタンピートが来ると思ったってことね。わかったわ。ってちょっと待って、その子がキングボアを狩ってきたの?」




それに対してダリオスは、そうだ、と簡単に返事を返した。




「はぁーその子が異常すぎるほど強いことがよくわかったわ」




なんかさっきから常識で通用しない相手みたいになってるんだけど。










かなり話が脱線しつつも魔の森、スタンピートに対する作戦会議が進んでいった。






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