お菓子を作ろう!

僕は今とても怖い見た目をして自分に背を向けている大柄な男にお願いをしていた。




「お願いします、ガンツさん調理場を貸してください!」




「お?いいぞ。」




「へ?」




実は心の中で「お前なんて若造に調理場なんて貸せるか!」とか、「ここは俺の戦場だ!ガキが入っていい場所じゃねぇー」とか言われると思っていたので変な声が出てしまった。

僕の変な声を聞いたガンツさんは、




「なんで腑抜けた声だしてるんだ?それでなにを作るんだ?」




「あ、えっとはい、今からお菓子を作ろうと思っています。」




僕は気を取り直してガンツさんに説明をした。




















「へークッキーとか言うお菓子があるのか。まぁ、いい。昼の仕込みまではまだ時間があるから作っていいぞ。ただし絶対に汚すなよ、わかったな?」




「はい、わかりました。じゃあ失礼して。」




僕は調理場に入ると、ガンツさんが貸してくれた前掛けのエプロンを着けて調理場に立った。




まず小麦粉を振るいそこに牛乳と蜂蜜を混ぜて玉を無くして生地を纏める。それを好きな形に切る。と言っても形なんて丸か四角しか道具がなくて作れないんだけどね。




形を作った生地を鉄板の上に載せて、それを火のついたかまどに入れ、いい感じの焼き目がついたら取り出す。




取り出したクッキーは熱を取るため《氷魔法》で作った氷の上に鉄板ごと乗せて冷ます。




冷めたら鉄板からクッキーを取り器に乗せる。







できた!これで喜んでくれるでしょう。

ちなみに置いてあったジャムがあったのでガンツさんに許可をもらって少し分けてもらった。それを丸いクッキーの上に乗せたジャムクッキーもある。




「レイ、クッキーはできたのか?」




クッキーが出来たことが分かったのか、ガンツさんが調理場に入って来た。




「はい、おかげでクッキーが完成しました。」




するとガンツさんが器に乗っているクッキーに手を出そうとしたので僕は器を持ってガンツさんが取れないようにした。




「おい、レイどう言うことだ?一枚ぐらい食わせろ。」




そう言われてもガンツさんに食べさせることはできない。




「ガンツさん申し訳ないですけどガンツさんに一番最初に食べてもらうことはできません。」




「どうしてだ?」




「僕はこのクッキーをマリナさんのために作りました。僕が約束を破ってしまった、お詫びとして。だから、ガンツさんに一番最初に食べてもらうことはできないんです。すみません。」




僕の話を聞いた後少し考える様子のガンツさんは僕に、




「そうかレイ。わかった、マリナが食べた後なら食べる事はできるんだな?」




「そうですね。調理場も貸してもらえましたしマリナさんが食べた後ならいくらでも食べていいです。足りなかったら作りますよ?」




僕はこの後、この作ります発言を深く後悔することになった。





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