夜の忘れもの

深い黒に浮かぶ灯り

人の姿など映さない

姿を映しても

ちらり、ちらり

立つ人はいなかった

足早に去る靴の音

かつ、かつ、ざっ、ざっ

素早く激しく逃げていった

するりと影ができたのは

顔も体も黒い影法師

ただ、ただ、人の形を模った

知らぬ、不気味な夜の人

誰かの忘れものだろう

少し経てば影法師はいなくなった

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