魔力回路を手にした俺は努力を惜しまず突き進む!

ピョンきち

第1話石像に魔力回路貰っちゃった

 トルステイン王国の辺境にある村にある一人の少年がいた。


 ノルン=ヘルリッヒ。 十五歳。


 俺は、何をしても平均、どんなに努力をしても平均。

それでも俺は今日も努力を惜しまない。


 自分で言うのもアレだが唯一誇れるのは、母さん譲りの整った目鼻立ちと父さん譲りのスラリとした長身の体型、そしてこの世界ではちょっとというかかなり珍しいサラサラとした白色の髪くらいかな。


 家族や村の人達はそんな俺を暖かく見守ってくれている。いい結果を出せなくても、その過程が重要なんだ、と俺に言ってくれる。


 そんな言葉をかけてくれる両親や村の人達に後押しされ、俺は入学試験を受けることにした。


 この世界の入学試験は難しくて、学校にランクというものが存在する。ランクはSランクからA、B、C、D、Eランクまであって、入学試験の順位で入る学校が決まる。

 入学試験は魔法、剣術の実技科目と勉強の筆記科目だ。勉強といっても基礎知識の確認程度らしい。

 もちろん、受験生はみんなSランクの学校を目指すが入れるのは受験生全体のわずか一握りだ。

 俺なんか到底無理に決まってる。いけてCランクくらいだ。










「おーい!ノルンっ!今日も鍛錬所に行くのか?お前明日、俺らと一緒に王都の入学試験に向かうんじゃなかったのか?」


「そうよ!やめといた方がいいんじゃないの?」


そう言って俺に声を掛けてきたのは、俺と同い年の少年であるザック=バーロンと、同じく同い年の少女セレーネ=マリスカルだった。


 ザックは俺と同じ身長くらいで体格は12歳とは思えないほどガッチリしている。ザックのトゲトゲした赤髪は闘志が形になって現れたんじゃないだろうか?


 セレーネは俺より小さくスレンダーな体型で、出る所はしっかりと出ていて、自己主張をしている。目鼻立ちは整っていて、少しウェーブのかかった栗色の艶々した髪は愛らしさを際立たせている。


「ザック、セレーネ。俺は努力するしかないんだ。才能がないからね。だから明日王都に向かうといっても俺は鍛錬を怠りたくないんだ」


 全てはいつも俺を応援して後押ししてくれている両親のために俺は努力を惜しまない。


 俺の言葉を聞いた2人は納得した、というか呆れた顔で答えた。


「ははっ!お前は子供の時からずっと変わんねーな!鍛錬終わったらしっかり休んで明日に備えろよ?あんま無理すんなよ?」


「ほんとそーよね!でも努力するのはノルンの良いとこなんだけど……。」


 セレーネの最後の言葉はゴニョゴニョ言って分からなかったが、俺を応援してくれているということは分かった。


「分かってくれてありがとう、2人とも。じゃあ行ってくる」


 そう言って俺は村から少し離れた鍛錬所に向かった。



 数分後、俺は村と鍛錬所を繋ぐ道を歩き終わり、鍛錬所の扉を開けてゆっくりと中に入っていく。中に入ると誰もおらず、俺の靴底が地面に擦っている音が鍛錬所に響き渡る。

 どうやら大人達は魔物を狩りに出かけたらしい。


「さて、いつも通り始めるとするか」


 そう言って俺は、鍛錬所内にあった長剣を持って振り回す。


「ハッ、ハッ、ハアッ!」


 何回も何回も剣を振り、息が上がってくる。

剣を振り回しているのに剣に振り回されている感じがする。

なんでだろ?


 数分後、剣を床に置いて魔法の鍛錬をする。


 この世界の魔法はおおよそ決められた語句を『詠唱』することにより、体内にある魔力を火、水、土、風の四つの属性に加え一部の限られた者だけが光、闇の二つの属性に変換して使う事ができる。他にも無属性魔法というのがあるが文献によると500年前の大賢者が使えたらしい。



 魔法は魔力を体内の中で自由自在に動かす事ができるようになるまで使えない。

 俺は魔力を体内で自由自在に動かせない。だから魔法は使えない。ザックやセレーネは小さい頃から魔法を使えていた。




「くそっ、くそっ!なんで俺だけ使えないんだ!?」


 俺は頭を振る。


「だめだ、頭を冷やせ。こんな状態で鍛錬しても何の意味もない。2人に言われたように明日は王都へ行くから、早めに切り上げるか」


 そうして俺は鍛錬所を出て村へ向かった。



 帰路の中、俺は普段とは違った光景が目に入ってきた。


「ん?何だ?石像?でもちっこいな」


  いつもはそこにないはずの石像が道端に置かれていた。

興味が湧いて少し近づいてみた。

 すると突然石像が光り輝き、俺はすぐさま手で目を覆った。


「ま、眩しっ!!」


 数十秒後、光が穏やかになったと思い目を覆っていた手を下げた。


『お主は、我らに選ばれし者。努力を惜しまず毎日毎日、ようやった。お主に力を与える事ができる。力が欲しいか?』


 急にどこからか声が聞こえた。


「誰だっ!」


俺の声に間髪入れずに声が聞こえた。


『お主の前にいる石像じゃよ』


 よく見ると石像の口が動いていた。


「せ、石像が喋ったあああああっ!!口動いてるしキモチワル!!」


『そんな事言わずにワシと喋らないか?』


急に低音の声で話しかけてきた。


「何でわざわざ声変えたの?」


『かっこいいじゃろ!』


石像の口だけじゃなく顔も動いていた。


「いや、そんなキメ顔しなくていいから!普通に怖いから!」



すると一変、石像は急にだんまりしてしまった。


「もしかして、傷ついた?」


石像は首を動かしてウンウンとうなづく。


 (気持ち悪いな。でも言っちゃうとかわいそうだし……。)


 俺が考えていると石像から喋り掛けてきた。


『もう一度問う。力が欲しいか?』


俺はゴクリと喉を鳴らす。


覚悟を決めた後、俺は石像に向かって言った。


「もちろん、欲しい。いや、俺に力をくれ!」


『いいじゃろう。お主に力を与える。ホレ!』


石像がそう言った途端俺の体が光り輝き、新たな感覚が生まれた。


「何だ?この感覚は?」


『それは魔力回路。お主は魔力回路が生まれつきなかったのじゃ。魔力があってもそれを巡らす道がなければ魔法は使えん。他の者にも魔力回路はあるがそれはそれは細いんじゃ。お主の魔力回路は特大サイズじゃ。鍛錬怠るんじゃないぞ?それではさらばじゃ!』



「ちょ、ちょ、待ってくれ!アンタは一体誰なんだ?」


その言葉を返してくれる者はここにはいなかった。



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