第6章夜は続く。魔女と女の子、または因縁とシスターと。そして二人の関係5

 それからは、ユーリに先に入って貰ってから、私も入る。

 ユーリは湯船に浸かるのに、少し慣れないようだったけど、確かにこれはリラックス出来ると大変気に入ったみたいで、私も嬉しくなってしまう。


 私も疲れていたので、これでぐっすり寝られると、もう一杯二人分のココアを容れる。

 それを飲んでる間は、二人で普段はどんな生活なのかと聞くユーリに私が答える形式で進行する会話を、割と長々と続けながら、再び先程のビートルズも背景に流していた。


 結構夜が深い時間。私達はそろそろ寝ることにした。


「ソラ、貴方の方はちょっと大きくて、ブカブカね」


 そう、この薄紫色のパジャマ。衝動買いである。先生には随分変な目で、奇妙な生き物を見る様な目で見られたと記憶している。


「うん。このサイズしかなかったからね。勢いで後先考えずに買っちゃった。だからちょっと小柄な私には大きめなの。でもだからこそ、役に立って良かったわ」

「ええ、逆にわたしにはピッタリね。――――お揃いってなんだかいいわ。よく町でお揃いを着ているカップルを見掛けて、ちょっぴり羨ましかった過去があったから。憧れてたの」

「ペアルックに? へぇ。それなら私で良ければ、いつでも付き合うわよ。この仕事が終わったら、報酬も入るだろうし」


 少しユーリの強ばりも緩和されたかな?


 私に話しても拒絶されなかったことと、それでもユーリの味方でいるって言ったことに加えて、こうやって戦い以外の時は、普段通りに接しているのもいいのかもしれない。


 私達は、お布団に入る前に、少し躊躇があった。

 知らない仲ではもうないとは言え、今までベッドを共にする仲では、全然なかったはずだから。


「電気、消すね」


 一応、怖い思いをしないように、全部消すのではなくて、常夜灯にしておいた。

 魔女相手にいらぬ心配かもしれないのだけど、転ばぬ先の杖なのである。

 それに、それならユーリに隣にいる私が見えるだろうから。


「うん。・・・・・・ドキドキして来ちゃった」

「私も。ユーリがこんなに傍にいると、余計に美人さんに見えるんだよ。だからこんな私でこんな役目が果たせるかなって」


 クスッとユーリが笑う。


「ふふ。ソラはこうやって並ぶと、確かに小っちゃいわね。でもこんなに可愛い子に慰められてるんですもの。どっちが大人かわからないわよね」


 そんなことない、と思う。

 私はまだまだ子供だし、ユーリは色々切り抜けて来た上でのトラウマもあるだろうと思うもの。


「手、つないでいい?」

「う、うん。いいよ」


 そう言うと、ユーリは手をキュッと握って来ただけではなくて、凄く密着してくっついて来たので。私の体に彼女の体の感触が、凄くリアルに感じられた。


「おやすみ。優しい異国のイーヴィル・アイズ・ガール」


 そう言って、すやすやと眠ってしまう。


 どうも調子が狂っちゃうわね、と困惑する間もなく、呑気だと歩に言われた通りに、私も緊張よりも疲れが勝ったのか、お互いくっついたまま、その胸の高まりをどちらもが感じつつ、安堵も多分あったのだと思う、双子の姉妹のように(体格差や外見からそれは無茶な比喩だとは分かっているのよ)、二人ともぐっすり寝入ったのだった。



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