第11.5話:咲良望美

 私、咲良望美さくらのぞみは、今日初めてデート……もとい、友達作りの視察に来ている。


 一緒に来ているのは隣の席の平良尋斗たいらひろとくん。


 そして、私は平良くんのことが好きなのだ。本人には打ち明けてしまったし、今になって隠すようなこともないので、少し気が楽だ。


 ただ、問題は他にあって……。私は人当たりがあまり良くない。周囲にはツンデレと呼ばれていて、できるだけ治したいと思っている。


 さて、自分語りはここら辺にしておこう。


 今私が何をしているかと言うと、さっき2人で撮ったプリクラのお絵描き。


 自分でしてもらっておいてなんだけど、お姫様抱っこをされているのを見るのは、少し照れると言うか……恥ずかしいと言うか。



「とりあえず、平良くんには猫耳をつけてあげよう!」


 うん! やっぱり可愛い! 私の目に狂いはなかったわね。


 私は完成した写真をもう一度眺める。


 平良くん、すごい力持ちだったなぁ。初めてあんなに男の子に密着したし……。


 あの時の感触と熱を思い出すと、今すぐにでもおかしくなってしまいそうだ。


 ドキドキして恥ずかしいけど……もう一度、いや、ずっと抱きかかえてもらいたいって思ってしまう。


「ふぅ……」


 なんだかほほが熱くなってきた気がする。手で触ってみても、やっぱりいつもより少しだけ熱い。


 と、こすったせいで化粧が手についてしまった。


 普段は化粧なんてしないけれど、今日は少しだけ……気合を入れてみた。


「って! なんで私がこんなドキドキしなきゃならないのよー! 別に別に、意識してもらうために化粧した訳じゃ、ないもん!!」


 やっぱり友達作りも、その他のことも、まだまだ先は長そうです。


「必ず……好きって言わせるんだから!」

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