第25話

 店の様子は、話に聞いていた通りだった。

 細長いカウンターだけの店。カウンターの中に数人の男たちが立っていた。

 幸子はビールを一杯飲んだあと、カウンターの中の男を呼び寄せた。

 一番近くにいる男だった。

 誰でもよかった。

「何か?」

 幸子は男の顔を改めてみる。よくもないけど、悪くもない。

「ねえ、いっしょに外に行かない?」

 男はにやりと笑い、同僚に何かをささやくと、カウンターの中から出てきた。

 幸子は男に手をひかれ、店を出ていく。

 幸子と同じようにカウンターで一人で飲んでいた女が、二人を見送り、鼻で笑った。

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