連打の拳は砕けない ~格ゲーeスポーツ伝説~

i-トーマ

レンダの伝説 序章

ーーーーー

第一話 オレがボタン 連弾レンダだ!

    詳細∨(あらすじ)主人公レンダ登場 eスポーツ格闘ゲームに燃える中学生 ゲームバカ


ーーーーー

第二話 相棒、凍弥トウヤは気難しい

    詳細∨(あらすじ)相棒登場 分析に優れ、いつも冷静沈着な男 ゲームバカ


ーーーーー

第三話 新メンバー!? 未巳ミミは後輩の女の子

    詳細∧(あらすじ)ヒロイン登場 可愛い後輩にデレデレ


ーー

「先輩、ちょっとは手加減してくださいよー」

「はっ、オレはいつでも誰が相手でも全力なんだよ」


 黒のショートヘアで、夏らしくタンクトップに短パンと、露出多めで可愛い少女ミミ。ちょっと涙目のミミに、レンダはからかうように答えた。


『あたし、レンダ先輩のファンなんです!』


 そう言って、突然特訓場であるトウヤの部屋に押しかけて来たミミと、腕試しの対戦をしていたレンダだった。


「レンダ、連鎖コンボのつなげ方が甘いぞ。途中に『立ち中P→下中K→立ち大P』が入ると何度言ったら。あと、相手の技の隙をかなり見逃している。この程度の相手、三回に二回はパーフェクトをとらなけれ……」

「わー! トウヤ、そう言えば腹が空かないか? カップ麺でも食べようぜ」

「そうだな、湯を沸かそう」


 そう言ってトウヤは電気ケトルにミネラルウォーターを入れてスイッチを入れる。

 湯が沸きカップ麺が出来上がるまでなんとなく雑談する三人。


「レンダ先輩は、何か苦手なものとかないんですか?」

「ねーな! オレはいつでも激龍亜破ドラゴンアッパーだぜ!」※上昇中無敵の対空技


 出来上がったカップ麺に手をかけるレンダ。

 ぼそりとトウヤが呟く。


「……あんこのみそ汁」

「ぶふぅっ!!」


 カップ麺を吹き出すレンダ。その後笑いが止まらない。


「え!? なになに??」

「レンダはな、あんこのみそ汁って言葉を聞くと、笑いが止まらなくなるんだ」


 戸惑うミミにトウヤが言う。

 どうやら、小学生の頃にあった出来事がトラウマレベルでレンダの笑いを誘うらしい。


「だってよ、ひっ、あんことうんことみその、ひっひっ、見た目と韻のトリプルプラトンの破壊力! はははっ」


 小学生低学年レベルのネタに、どうしても笑いの止まらないレンダ。


「へぇ~。レンダ先輩にもそういうところあるんですね。かわいい!」


 ミミも最高の笑顔を見せるのだった。

ーー

 ∧


ーーーーー

第四話 必殺技爆発! 格闘ゲームは命懸け!

    詳細∨(あらすじ)レンダの実力の一端が発揮される 調子にのるレンダ


ーーーーー

第五話 ストリート対戦ファイトで腕磨き

    詳細∨(あらすじ)大会に向けて練習がてら、野良試合をふっかけて回るレンダ まるで敵無しだが、それを見つめる怪しい視線が


ーーーーー

第六話 それがお前のやり方か! 非情の業渦カルマ登場

    詳細∨(あらすじ)ライバル登場 クールで優雅なイケメンが、巧みで巧妙な罠を仕掛けてきて、レンダを追い詰める


ーーーーー

第七話 秘密特訓! 密林の王者チャンピオンゴリラを探し出せ

    詳細∨(あらすじ)さらなる特訓のため、格闘ゲームの師匠を探す 三人は、密林の奥の秘境へと旅立つのだった


ーーーーー

第八話 大爆発! 密集連打ピラニアバルカンの心得

    詳細∨(あらすじ)新必殺技伝授のため、ピラニアのいる川に沈む焼けた甘栗を拾う特訓をするレンダ ついに新必殺技の極意をつかむ


ーーーーー

第九話 ミミ危機一髪! 大浴場はパラダイス

    詳細∨(あらすじ)サービス回 ドタバタ展開 大筋のストーリーとは関係なくとにかくミミが脱ぐ


ーーーーー

第十話 そんなことしてる場合かよ!

    詳細∨(あらすじ)水着回 海の家のスイカや焼きそばで特訓 ミミの水着多め


ーーーーー

第十一話 波乱の大会予選! トウヤ墜つ

    詳細∨(あらすじ)ついに始まった大会予選 カルマは非情な手段でトウヤを撃破する


ーーーーー

第十二話 激戦の決勝戦! 優勝は誰の手に!?

    詳細∧(あらすじ)トウヤの弔い合戦として、レンダはカルマへと闘志を燃やす


ーー

「オマエだけは絶対に許さねぇ!」


 大画面モニターの前に設置された筐体に向かう途中、レンダはカルマに怒りを込めた指先を向ける。


「ふん、雑魚が何をほざこうが、焼きそばの紅生姜程度も気にならんわ」


 言っていることはよくわからないが、紅生姜は結構主張するぞ。


『いよいよ始まります決勝戦! 泣いても笑ってもこれが最後の一戦! さあさ勝利はいったい、誰の手に!』


 司会の声が合図となって、ゲームが始まる。


 レンダがレバーを操作して、持ちキャラである『ガンダン・ノォヴァ』を選択する。


 カルマも持ちキャラである『乾杯音頭のメイメイ』を選ぶ。


《ラウンドワン レディ ファイ》


 ゲームの音声が戦闘開始を告げる。


「うおおおおおおおおお!!」


 レンダが叫びながら立ち上がる。怒涛のレバー捌きに機関銃のボタン連打が、ガンダンを画面せましと踊らせる。レンダの背には、ゴリラのようなオーラが浮かぶ。


 対してカルマは、まるでグランドピアノでも奏でるような、姿勢良く優雅でしなやかな指使いでメイメイを操る。まるで天使の舞う姿が見えるようだ。


《びっびしっビシごっごつっゴガッ、ドン!》

 ガチムチ筋肉ダルマのガンダンの連鎖攻撃コンボが決まり、地面に叩きつけられたメイメイの体力を大幅に減らす。


《そぉれ火酒スピリッツ冷酒ポンシュ氷おねがいしまーすうぷっぷ♪かんぱーいおかわり!》

 酔っ払い巫女の暗器使いというイロモノキャラのメイメイが、可愛い声でぶりっ子と凶器を振り回す。


「よし、ギリギリだがレンダが押している」


 トウヤが冷静に判断する。


「この流れなら、一割の体力を残してレンダが勝つ」


 それを聞いたミミが、笑顔でレンダの背後に駆け寄る。


「レンダ先輩! 絶好調ですね!」

「おう! 楽勝だぜ!」


「あんこのみそ汁」


「ぶふぉっ!」


 吹き出したレンダの手がレバーから滑る。


《おあいそです♪》


 その隙を逃さず、メイメイが必殺技をぶち込む。


「流れが……このままではマズいぞ、レンダ」


 なお冷静なトウヤが分析する。


「ひっひっ、ミミ、ひっ、なんで?」


 笑いを耐えるのに必死なレンダが、ミミに問いかける。


「なんでって? だってあたしは」


 ミミがカルマの背後にかけよる。


「お兄様の妹なんだもん」

「よくやった、ミミ」


 なんと! ミミはカルマの妹で、いざという時にレンダを邪魔するスパイだったのだ!


「こんな、こんなことで、オレの勝利はゆるがないぜ!」


 いまだ勝利を諦めないレンダが気合いを入れ直した時、何かが目の前を横切った。

 それは、けん玉の玉のような穴の空いた球形で、親指と人差し指で作ったくらいの大きさだった。


 それは、操作レバーの握り玉だった。


 あれって、回すと取れるんだよね。ゲーム中に力が入ると、ちょっとずつ回っていきなり取れちゃうの。


 ただの棒だけになったレバーは握りづらく、思うように動かない。


「はっはっはっ、無様だな。そのままたこ焼きの無いつまようじにでもなるがよい」


 なに言ってんだかさっぱりだが、それはレンダの魂に火を付けた。


「なめんじゃねぇ! この程度、ちょうどいいハンデだぜ!」


 レンダは飛び上がると、筐体のコントロールパネルに飛び乗った。


密集の王者チャンピオンゴリラ直伝! 密集連打ピラニアバルカン変則技……」


「レンダ! その技、まさか完成していたのか!」


 トウヤが珍しく熱くなっている。


「『密集乱舞ピラニアステップ』!!」


 レンダの両手両足が、コントロールパネルの上を恐ろしい勢いで動き回る!


 すでにガンダンの体力ゲージの残りはミリだが、そこから猛烈な反撃が始まる。打撃音が、衝突音が止まらない。叩き上げては掴んで落とし、カウンターを誘っては当て身で投げる。


《グランドクロス・ファイナルボムアンドスクリューボムバスター!》


『ガンダン・ノォヴァの最強必殺技が見事に決まったぁーーー!!』


《K.O. ガンダン ウィン》

 ゲーム音声が、レンダのキャラの勝利を告げる。


「まさか、この私が……負け……」


 カルマが放心したそのとき。


『優勝は、ガンダン使いのレンダだーーー!!』


 司会の声が会場に響く。


「やった! ぜぃ……」


 力を使い果たしたレンダが倒れ込むと、トウヤがギリギリで受け止めた。


「たいした奴だよ、お前は」


 新しい勝利者をたたえる歓声が、いつまでも会場にこだましていた。

ーー

 ∧


ーーーーー

第十三話 オレ達の戦いは終わらない!

    詳細∨(あらすじ)全国大会に向けて気合いを入れ直すレンダ。だが、中学生であるレンダやトウヤの夏休みはもう残り少ない。特訓は間に合うのか? 相変わらずミミは遊びにきては邪魔するし、全国大会にはまだまだ強者がたくさんいるぞ。頑張れレンダ! 世界最強になるその日まで!



放映期間 2020.07~2020.09

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る