第5話 第1生物発見!
ココは体全体がうなだれて本当に残念に思っていた。
これほどにハミュが怒ってしまい、もう探索に行くことはできないと思ったのだ。
ハミュもそのつもりだった。今までは必ずココの父親も一緒の探索だったが、今回は初めて2人だけの探索なのだ。初めての2人に未開拓の星は危険でしかないはずだ。
そんな時、ハミュの後方から小さな影が近付いてきていた。
その出で立ちはふわふわと浮かぶまるで風船のよう。表面は別の意味でふわふわの綿毛のような白い毛が特徴的だ。丸い風船のような体にはしっかりと顔があり、間違いなく犬だった。
その犬はハミュのすぐ後ろで止まり、勢いよく優しく噛み付いた。"あむっ"と。
「ミ゛ュミ゛ューー〜〜==ーー!???」
「うわぁ!なに!?」
ハミュはビクッと体が反応したと同時に、この世のものとは思えない奇声を発した。
そしてすぐさま驚いているココの後ろに回り込み、何が起きたのかとあたりを見回す。
「なになにミュ!??? 生温かくて気持ちi…ミュミュミュ!!! いきなり"がぶり"とおしりをかじられたミュ!!!」
「え…?」
ココは聞き逃さなかった。そしてその発言をツッコみたくハミュを見たが、とても照れているハミュがかわいくてツッコめなかった。
そして、すぐさま前に向き直ると風船のような白い犬がふわふわ跳ねていることに気付いた。
「あ!かわいい〜〜〜〜!! 小さいワンちゃん…みたいな動物だ!」
紛れもなくかわいい風船犬がそこにはいた。何気ない顔で佇んでいる。
「ふわふわしてるミュ! こんな動物初めて見るミュよ!」
すでに照れた顔から通常の顔に戻ったハミュが続く。
2人共初めて見る奇妙な生き物に一瞬我を失ったが、その不思議さ、かわいさに興奮して舞い戻ったようだ。
一方で風船犬は2人が大きな声を出しても何気ない顔のままふわふわしている。
「襲ってくる様子もないし、危険な動物じゃない…かな? かわいいし」
かわいいで判断するのはいいのか?と思いつつもハミュも危険には思っていなかった。だが"がぶり"(本人はそう主張している)と噛みつかれたのだ、素直に認めたくはない。
「そ、そうミュね………納得いかないミュけど」
ココには納得いかない理由がわかっていた。からかうことも出来たが、ココはぐっと抑えた。
「こんなにかわいい出会いもあるしさ、やっぱり探索してみようよ! 危険だと思ったら帰るからさ!」
「まったくもうっミュ!! 少しでも危ない事がわかったらすぐ帰るミュよ!!」
まんざらでもないハミュを見てココは微笑み、この出来事を起こした風船犬に感謝した。
そんな2人のやり取りを見ながらも風船犬は相変わらず何気ない顔でふわふわしていた。
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