第2話 キャラクリエイト

 ヘッドギアを装着し、電源プラグをコンセントに差し込む。PCに〈アースガルド・オンライン〉をインストールして、インターネット環境を整えたら、いざゲームへ。



「ようこそ、〈アースガルド・オンライン〉へ!」


 目を開ければそこは真っ白な空間だった。光源も無いのに明るさが保たれている為、ゲーム内だという事がわかった。

 目の前には青いすべ肌のゼリー、スライムがいた。


「こ、こんにちは」

「こんにちは〜!僕はキャラクリエイト担当管理AI15号のスラミー!」


 喋らないと思っていたが、スライムって喋るんだね。


「じゃあキャラクターネームから。何にする?」

「うーん、ヴェン=クルシフォンで」

「おっけー」


 ヴェンはよく使っていた名前で、クルシフォンはよく読んでいた小説の主人公の名字から取った。


「次は種族!好きなのを選んでね!」


 種族は豊富だった。エルフやドワーフ、獣人に鬼人など様々な種類があった。


「獣人にしようかな」

「獣人ねー。じゃあ所属国家は獣帝国になるけど大丈夫?」


国もいくつかあるのか。凄いな。


「ああ」

「これでキャラクリエイトは終わりだよ。よく尋ねてくる人が居るから伝えておくけど、このゲームの目標はからね」


「え?」


目標が無いゲーム?


「このゲームは自由なんだよ。英雄にも魔王にもなれるし、奴隷になったってオッケーなんだよ」

「成程な」

「それともう一つ注意。NPC。それだけは覚えておいてね」


 スラミーは心配する様な声色でそう言った。悲しそうにも見える。


「じゃあ、頑張ってね!」


 その瞬間、俺は意識を手放す。



◼︎〈アースガルド・オンライン〉スラミー


「あの顔なら、大丈夫かも」


 あの人なら救ってくれるはず。きっと、平穏な日々が帰ってくるはず、そう信じた。


「どうしたんだ?スラミー」

「ああ、さっきの子なら、救う事が出来そうって思ったんだよ。この世界を、きっと」

「そうか。だが、悪い知らせ、いや、良い知らせかもな」

「どうしたんだい?グルド」

「彼に反応する神話級ミソロジー・ユニーク・ボス・モンスターが見つかった」




ーーーフェンリルだ。




「そう。じゃあ、この先は彼に任せよう」


 その言葉と同時に、ピエロの面をつけた男、〈アースガルド・オンライン〉BMボスモンスター担当管理AI16グルドは消えていった。

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