第6話 彼の日課

「たっだいま〜」

「あっお帰りお兄ちゃん!」


 僕は自宅の玄関をくぐると一目散に妹の元へ向かった。


「さな〜元気してたか〜?寂しくなかったか?」

「うん!大丈夫だよ!それより学校どうだった?」


 僕の愛するマイシスター黒江沙苗くろえさなえはニコニコと僕に話しかけてくる。

 腰に届きそうなサラサラな髪を赤いリボンでサイドテールにしている!


 ちなみにサイドテールは僕の要望を取り入れてくれた。


「学校は楽しいぞ〜それにすっげー美人の姉ちゃんがいる!」

「そうなの?べっぴんさん?」

「あぁ!もうすっごいの!王女様なの!さなも好きになると思うぞ」

「へぇ〜わたしも会ってみたいなぁ」


 僕はさなと話しながら夕飯の準備をする。


「今日何食べたい?」

「パエリア」

「うんごめん、さな……スキルポイントが足りない」

「冗談だよ!じゃあ鯖の塩焼きで」

「パエリア、今度練習してみる!鯖か、わかったちょっと買ってくるから留守番しててくれ!」

「いってら〜」


 僕は手提げを持って街へと繰り出す。

 いつもの鮮魚店に行き顔馴染みのおっちゃんと談笑しながら鯖を購入。オマケで少し刺身を分けてもらった!


「さな〜もうすぐ出来るぞ〜」

「はーい!」


 僕とさなは向かい合って座り、いただきますをして食べ始める。


「んん!おいしい」

「そっかぁ美味しいか〜んふふふふ!さなはかわいいな」


 デレデレしながらさなを見る。いつも笑顔を絶やさず元気な子だ。守りたいこの笑顔!


 シスコン?

 はいそうです!

 ロリコン?

 はいそうです!

 ブラコン!

 はい、そうであって欲しいです!


 妹が好きで何が悪い!


「今度藤宮さんにも自慢しよう!」


 妹への愛が止まらない!止められない!


 藤宮さんと妹どちらを選ぶかと言われれば……答えは一つだ!そこに迷いはない!


「さな〜聞いてくれるか?」

「なにお兄ちゃん?」


 沙苗は首をコテンっとして話の続きを聞きたそうにしている


「僕が出会った黄金のお姫様の話」

「何それききたーい!」


 大興奮している妹を見て僕も嬉しい!


「よしじゃあゆっくり話してやるか!先にお風呂と歯磨きしてきなさい」

「はーい」


 元気よく返事をする沙苗を見ながら、僕は食器を片付ける。


(パエリアってどうやって作るんだろう?)


 お風呂から返ってきた沙苗を布団に入れ、僕は語り出す……


「彼女は……春の日差しが暖かく桜が満開の日にポツンと一人、空を見上げていた……」




 さなが眠るまでの間、僕は彼女の事を語り続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る