町でただこうやって水を撒く時に

街でただこうやって水を撒く時に


地上に張り巡らされた線を見る

それは直線や曲線であり

ちりばめた図形に色を付ける

今日は世界中の林檎達が

回転しながらスーパーを抜け出します

それは電柱程度の高さで移動する

世界は余所見をする

車はガードレールに導かれる

それは街の中心地に集まり

巨大な林檎へと身体を溶かし変わる

林檎の溝からは黄緑の光線が広がり

立体は全て草木に変わる

たった一度だけでも

出会える筈だったあなたは

身体の音を出しながら木に変る

人はその枝を折れないでいる

それが林檎の目論見なのかも知れません

人は放火魔か爆撃機を待っている

爆撃機がミサイルを林檎に発射して

林檎ジュースと共に

ひと囓りされた様な林檎達の残骸が

溢れていた

巨大な林檎は分裂し

爆撃機や市民を襲う

草木が広がる

騒がしい朝の九時

僕はその森で寝そべってる


泥から純水を掬い上げる様に


素敵な黄色い足跡をみた

枯れた様なアルペジオが響いてる星空で

鍵盤の螺旋階段を二人は降りる

砕いた硝子に映した太陽の顔は

アスファルトに綺麗な言葉を付ける様に

空いた手を胸にまで繋げさせる

子供達は夢に怯えて

眠れぬ夜になったとしても

桃色のカーテンは君を淡く染める

洗われない台所は泡に塗れて色まで取れた

あなたは透明な皿にレタスを乗っける

僕はあなたに答えて欲しい

白が限り無い無色であると思ってる

黒が塗り重ねの最終系だと信じてる

けどこの泡を混ぜたなら

僕達は半透明の精神になるのだろうか

空中をスポンジで洗えば

そこは何色なのさ

ギャラクシーの黒は

何色が混ざって黒であるの

そこすら剥して透明に全てなるとして

そこには白が潜んでいて

透明が浮かばないんだ

僕らの瞳に色が住んでいる

あなたはドレッシングを大量にかける

これが答えよと言わんばかりに


哀しみを飼う人の空について


灰はかつては誰かの詩であった

心の湖には霧が立ち込めている

裸の女が泳いでいる

あなただけが知る合図

こうしていないと奪われそうになる

そうなる度に女は泳ぐ

危険も考えず真ん中の深いとこまでも泳ぐ

透き通る水中の緑に触れるだろう

女は更に暗黒の底へ潜り込む

あなたはその合図を知らない

底を泳いでいく

あなたは胸の真ん中辺りを押さえる

動揺に佇む空が定まらない

硝子の皹の様に鳥が二羽

本当は一羽だったのに

底の光へ手を伸ばすと空に出る

女は同時に舞い落ち照れる服を着る

あなたはいけないと眩暈に悩まされる

パラシュートを見つけて

女はそれを背中につける

ソファーとテレビが落ちていて

女は寛ぎながら落ち行く物の中から

リモコンを探している

あなたは理由も無く街を走る

空や背後を気にしながら

すると正面に女が寛ぎながら落ちて来て言う

「はじめまして

けれどもそんな気がしないわ

あなたからみられていた気がしてた」

あなたが何を恐れていたのかを知らない

あなたは湖で燃やされた詩に塗れて死ぬ

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