下着泥棒

下着泥棒がいる 最近この町に現れて私たちの下着を無差別に盗んでいくのだ

私はそれから干さなくなったのだがどういうことか

選択が終わって取り出すまでの間に下着はなくなっているのだ

警察が服をいずそうに着ながら 巡回をしている

指名手配があちこちに貼られていて

遥か昔の芸術運動で彫られた様な彫刻のような肉体をした全裸の変態だった

ヌーブラすらなくてやけにピンとするのが恥ずかしくて外には出られないでいた

そして全国にこの事件は知れ渡るのだった

服屋の下着が一夜にして半分の店で無くなったのだ

残りの店には大量の人々が入り込み

下着を持っていくもずっと寝ないで見た人ですら下着を盗まれてしまったのだ

私たちはやがて諦めたすると今度は上着が無くなった瞬く間にそれは広まっていき

警察が店内にごちゃごちゃと入りこんで一夜を過ごしたが

なんと瞬きをするたびに上着が無くなってしまったそうだ

まったく手が付けられない

はるばるFBIや自衛隊が出動したが

寝泊まりしている間に服は無くなっているのだった

私たちはとうとう家まで透明になってしまって人々の丸裸が見える暮らしをしている

隣の部屋の男性は最初は恥ずかしそうに興奮していたが

やがて普通のものになってしまった

見慣れてしまったのだ嬉しいのやら悲しいのやら

番組が取材に来た私たちにはモザイクが大胆にかかっていたのだが

翌日の番組ではなぜかモザイクがかからなく

この事件については言葉だけでの取り上げになった

猥褻物珍烈罪が無くなり変わらず生活をしていると

犯人たる男が自首してきた

彼の意見はこうだった

最近は本音で話そうとしてもどこか隠しているんだよね

裸の付き合いが無くなったんだよね

裸になれば皆素直に話せるんじゃないかなって思ってね

私たちは彼の意見に賛成して彼は無罪になった

彼は私たちの躊躇いや嘘を盗んで行ったんだなと思った

服屋は潰れたが

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る