第155話 第一王子
「おや、久しぶりに戻ってみれば家族が全員集合しているね? もしや私のお出迎えかな?」
そう言って爽やかに微笑むアルフレッド王子。整った容姿に気品のある身なり、そして優雅な身のこなしと絵に描いたような王子様である。
「ねえリヴィ、あちらの方はもしかして第一王子様でしょうか?」
「ごめんなさいサーシャ、私もはじめて目にするお方で……」
「あちらはワタクシの兄“アルフレッド・ジャン・ジュール・ロムルス”、ロムルス王国の第一王子ですわ」
「あの方が第一王子様なのですね、はじめてお顔を拝見しました」
「無理もありませんわね、アルフレッドお兄様は公務のために各地を飛び回っていますもの。王都で見かけることはほとんどありませんわ」
アルフレッドは軽やかな足取りで玉座へと向かっていく、対するゼノン王も玉座から立ちあがりアルフレッドを迎え入れる。
「アルフレッド! 変わらず元気そうだな!」
「父上もお元気そうでなによりです。母上は相変わらずお美しい、クリスティーナとエリザベスはすっかり大人の女性だね。そして──」
アルフレッドはチラリとシャルロットの方へ視線を向ける。
「シャルロットはずいぶん大きくなったね、母上そっくりの美人さんだ」
「お兄様ってば、照れてしまいますわ」
「最近はどこへいってもシャルロットの噂を耳にするよ。なんでも太陽の天使だの勝利の女神だのと、シャルロットはいつ人間を卒業したんだい?」
「ちょっとお兄様! ワタクシは人間を卒業していませんわよ!」
「冗談だよシャルロット、そんなに怒らないでおくれ」
ロムルス王家の家族仲はとても良好なようだ、謁見の間にはほんわかと和やかな雰囲気が流れる。しかしそんな和やかな雰囲気から一転して、アルフレッドは鋭い視線をゼノン王へと向ける。
「ところで父上、早急にご報告があります」
「ん? どうしたアルフレッド?」
「各地を回る中で不穏な情報を掴みました、近ごろ大陸全土で怪しい集団が活動しているようです」
「怪しい集団?」
「なんでも“邪神”とやらを復活させるために危険な儀式を繰り返しているとか」
「むっ……」
“邪神”という言葉にピクリと反応を見せるゼノン王、アルフレッドはその反応を見逃さない。
「どうやら父上も把握しているようですね、どこか別室で情報を共有したいのですが──」
アルフレッドが場所を移そうとした次の瞬間、可愛らしい声とともに一人の少女が飛び込んでくる。
「ゼノンはおるかのー!」
飛び込んできたのは元気いっぱいなウルリカ様である。ゼノン王の元へ駆け寄ると、学園祭の招待券をグイグイと押しつける。
「学園祭じゃ! 遊びにくるのじゃ!」
「おい待てウルリカ、今は──」
「ゼノンは妾の友達じゃからな、一番に誘いにきたのじゃ! 絶対にきておくれなのじゃ!」
興奮したウルリカ様にゼノン王の言葉は届かない、凄まじい勢いでクリスティーナやエリザベスにも招待券を押しつけていく。そしてアルフレッドの元へと駆け寄り──。
「ふむ、お主は誰かのう? まあいいのじゃ、とにかくお主もきておくれなのじゃ!」
初対面の相手をいきなり学園祭に誘うウルリカ様、なんとも大胆な行動である。
一方招待券を押しつけられたアルフレッドは、ギョッと目を見開いてウルリカ様を凝視している。
「なっ……君は……!?」
「うむ?」
そしてアルフレッドは、ウルリカ様に向かって一言──。
✡ ✡ ✡ ✡ ✡ ✡
ようやくロムルス一家勢揃いです (150話を超えてようやく……)。
というわけで勢揃いしたロムルス一家をご紹介です。
✡名前:ゼノン・ファン・ルイス・ロムルス
✡称号:国王
✡性別:男性
✡年齢:三十九歳
✡一言メモ:賢王と呼ばれる偉大な国王様であり、娘とお酒が大好きなおじさんです。
✡名前:ヴィクトリア・メリル・アン・ロムルス
✡称号:女王
✡性別:女性
✡年齢:女性に年齢を聞くなんて、ずいぶんと命知らずなのね……?
✡一言メモ:“王妃”ではなく“女王”様です、誤設定ではありません。
✡名前:アルフレッド・ジャン・ジュール・ロムルス
✡称号:第一王子
✡性別:男性
✡年齢:二十三歳
✡一言メモ:容姿端麗、品行方正、文武両道の絵に描いたような王子様……と見せかけて悲報が待っております。
✡名前:クリスティーナ・ローレン・ティア・ロムルス
✡称号:第一王女
✡性別:女性
✡年齢:二十歳
✡一言メモ:キレイな黒髪は母親譲りです、憧れの人はノイマン学長です。
✡名前:エリザベス・メイ・ランス・ロムルス
✡称号:第二王女
✡性別:女性
✡年齢:十九歳
✡一言メモ:脳筋とは彼女のことです、絶大な女性人気を誇っております。
✡名前:シャルロット・アン・ロムルス
✡称号:第三王女
✡性別:女性
✡年齢:十三歳
✡一言メモ:太陽の天使様であり勝利の女神様、この物語のもう一人の主人公です。
これからもロムルス一家の活躍にご期待ください!
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