思索詩集

和泉茉樹

完全なる静寂の中の心を震わせて

静かな瀑布があるとして

その流れは

落下は

どこへ落ちていくのだろう?

たぶん

底の見えない

深い深い

奈落の底へ落ちていく

どこまでも

どこまでも

当たって砕けること

飛沫をあげることもなく

つまり

不完全な瀑布として

ただ落ちていくだけの

無音の

しかし叩きつけること

ただ叩きつけることだけを

使命とした

強い力が

その流れには

宿っている


全くの無音の

心の中を

感情は強い指向性を秘めて

当て所なく

ただ走り

舞い上がり

そして墜落する


そうやって

本当の無音の中に

微かな震えが

しかし確かに

起こった時

生きていることが

感じ取れるだろう


震えない心は

人間の心ではなく

人の形をしたもの

人形の心だ


人間の心は

どこにも辿り着かない

終わることのない瀑布にすら

震えるものだろうから

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