-第1章- 終わりの始まり


?「時は満ちた」

..........



「やべー遅刻するー!」


朝っぱらからバタバタ慌ただしい、

彼の名前は雷堂 拓也(らいどう たくや)。

鳳雷神社(ほうらいじんじゃ)の

跡取り息子で両親を早くに亡くし今は

祖父母と暮らしている。高校2年生。


寝癖でぐしゃぐしゃの髪を

気休め程度に手ぐしで直して

勢いよく家を飛び出す。


「いってきまーす!」



「はい!二分遅刻〜!

拓也は何?遅刻が趣味なの?」


ヘラっと笑いながら悪態づいてる、

彼は火渡 武瑠(ひわたり たける)


「まぁまぁ昨日は5分も遅れてきたからね。

それに比べたら成長成長。」


武瑠の肩を宥めるように叩きながら

優しく微笑む彼は

番野 龍太(ばんの りゅうた)



3人は幼稚園からの付き合いで

いわゆる幼馴染みだ。

毎朝3人揃って登校するのが

彼らの日課である。


「龍太が甘いから拓也が

つけ上がるんだぞ?」

龍太の事を軽く小突いた後、

肩に手を回しながらヘラっと笑う武瑠。


「いやまじでごめんて!

明日は時間通りに来るからさ〜」

顔の前で両手を合わせながら

申し訳なさそうな表情を浮かべる拓也。




「おっはよー諸君!」

3人の脇を1台の自転車が駆け抜ける。


「あっぶね!おい!由姫!(ゆき)」

拓也が自転車に乗った女性に向かって叫ぶ。



「早くしないとまた遅刻するぞー?

じゃあおっさきー!」


振り向きながらそう告げると

颯爽と走り去った。

彼女は剣 由姫(つるぎ ゆき)

彼女も彼らと同じく幼稚園からの

幼馴染だ。



「あれ?もしや今日って水曜日?

って事は今日はロースカツサンドの日だね!昼休み入る5分前には購買に向かわなきゃね!」


由姫と拓也の事などお構い無しに

水曜日限定のロースカツサンドの話を

嬉しそうに武瑠に話す龍太。


「出た!ロースカツサンド!あれ上手いよなー!4限目ってなんだったっけ?早めに抜けれるかなー?」


龍太の話にノリノリの武瑠。



そんな3人の姿を

遠くから見つめる怪しい影が。


「!?」

拓也が視線を感じて

サッと振り返るが誰も見当たらない。


「ん?どした?」

拓也の異変に気づいて武瑠が

問いかける。


「いや何でもなかったわ。

、、ってか時間やばいじゃん急ごう!」


感じた視線に違和感を感じながらも

ふと見た自分の左腕の時計が指してる時間に

驚き、走り出す拓也。


「全く、、根本的に誰のせいだと

思ってんだよあいつはさ〜」


呆れた表情浮かべながら

拓也を追いかける武瑠。


「まあまあ、今日は水曜日だし

ロースカツサンドを奢ってもらうって事で

手を打とうよ。」


ふてくされてる武瑠を宥めながらも

龍太も2人を追いかける。




、、、何気ない日常。




彼らに迫りくる運命をまだ

誰も知る由もなかった。





-第1章- 終わりの始まり END













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