第14話

三か月後。


夏休みも終わり、うちの学校は二学期制なので期末テストも終わり、大きな区切りがついた。


先輩が勉強に付き合ってくれたおかげか、余裕を持ってバイトの条件である、テスト八十点以上をクリアした。なので、無事先輩と一緒に喫茶店でバイトを出来ている。


そんな優しい、やさしい先輩は最近、ダルくなった。


「遂に、ついに二人っきりでお出掛けっ。土曜日、午前十時から駅前で待ち合わせ。ああ~早く来てほしけど、来てほしくないっ。えっと、今日は月曜部だからあと・・・四日。高校受験より緊張するかも。どうしよ、高血圧でその前に死んじゃいそう」


こんな感じ。は?、色ボケかよ。


それもこれの予定が決まった日曜日にラインで一回、電話で一回。そして、またこのバイトの喫茶店で喋られる。・・・辟易。この言葉の使い方は合ってるよね。


先輩と同じテンションで生きてるわけじゃないんですよ。そろそろキレてもいいんでは?


「ねぇねぇ、服とか新しく買いにいった方がいい?気合入れすぎると引かれるかもしれないんだよな~?ねぇねぇそこんとこどう思う?」


そうですよ、先輩!私のおかげなんですから。もっと私を頼ってくれないと。そのメイクも服装のセンスも私が教えてきたんですから。ちゃんと高校の青春を味合わってもらうために。・・・それもあと一歩。


「お洒落も大事ですけど、告白はどうするんですか?」


「え?なんで告白?」


「どうせ、告白なんてしなくていいと思ってるんでしょ」


目が点のまま先輩は頷いた。やっぱり、先輩は純粋すぎる。


「キープって知ってますか?近頃の高校生は変な悪知恵を持ってますから」


「誰目線の話してんの。タイムリープとかしてきたの?」


黙って聞け!真面目な話じゃ、と目力で先輩の話を遮る。


「交際の有無をうやむやにして都合のいい遊び相手とか、雑なステータス扱いするんですよ」


「そんなに焦る必要なんてないんじゃない?二人だけで遊びにいくのだって初めてなんだけど」


私はユラッと立ち上がった。身長は私の方が低いが、縮こまっている先輩なら私でも見下ろせる。


「一般の人はそれを"デート"って言うんですよ。舐めてるんですか?」


先輩はどうどん後ろに下がっていく。喫茶店の棚までは限界だ。


「二人きりで一回遊んだら十分でしょ。最後にすればいいですよ。"告白"を」


「・・・無理、絶対無理!断られたらどうすんの?もう絶縁だよ!あっちにその気がなくても、こっちが無理。キープされても多少の価値があった方がいいよ!それにそもそもあの人がキープなんてするわけないから!」


「チキンですね」


先輩はガクッと頭を落とした。応援はしてますからね、せんっぱい。











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