13話 ガイア降臨 その1


2035年11月


市ヶ谷地区 国防総省内 防衛大臣執務室にて



 女神ガイアと天使サリエルは、中破 守がいる大臣執務室に現れた。


 現れた方法は、部屋中央の空間が歪みが生じて、その中から徐々に人の姿が現れるものであった。

 いきなり瞬間的に姿を現すことも可能であるが、それだと神としての有り難みが無いと判断し、今回の方法で中破の前に登場した。


 中破は部屋中央の歪みのある空間にすぐ気付いて、その空間から神々等の高次元生命体が現れる兆候だと思い、その空間に向かって跪いていた。


 そして、その歪んだ空間が消えると、ワインレッド色のミニタイトスカート仕様のスーツ上下と、髪型は少しウェーブが掛かったブラウンで、肩先まで伸びたロングヘアー。

 顔立ちは西洋的だが、柔和な顔立ちでバランスの取れた日本人から見ると、非常に好印象であった。


 そのガイアの少し後ろに、濃紺色上下のスーツでガイア以上に短いタイトスカートを履き、腰まで届くダークシルバー色のストレートヘアーをして乳白色の前髪留めをし、顔立ちは極めて日本人のアイドルスターか新人女優の綺麗系を足して2で割る位に可愛い程で、100人いたら120人が振り向くほどの美しさと可愛さを秘めていた。

 勿論、ガイアは誰が見ても美人なのだが、サリエルは女神の神々しい美しさとは別物の可愛い系天使美人と言った方が正しい表現だろう。



 中破は空間の歪みを目にし、神々の方々が自分の前に現れたと勘付き、床に跪く行動に出たのだ。


「中破大臣、そのように跪かれたら私達が折角キャリアウーマン風の服装をして登場したのに、貴男の大臣の威厳が無くなってしまうじゃないですか。

 貴男一人しかいない場所で転移していますから、幸いにして他人に目撃されてはいませんが、あくまで私達を何処ぞの外国高官に接していると思い、普通の礼儀で接して下さい」


「分かりました、女神ガイア様」


「ウーン、その堅苦しい呼び方。何とかしたいわね」


「何と及びすれば?」


「お、そうだ。『ガーネット・アース』なんかどうかな?

 サリー、どう思うか?」


「ガイア様。安易な名前ですが、まあ宜しいかと」


「フン、サリー。顔は可愛いけど相変わらず毒舌ね」


「褒め言葉だと受け取ります」


「そこで中破大臣、他人の目がある場合は私の名は『ガーネット・アース』と呼ぶように。

 それ以外はガイアで構わないから」


「えーと、ガーネット様、若しくはアース様で良いのですか?ガイア様」


「今は対等な立場だから、せいぜい『さん』付けか、対策調査に来ているから、『アース調査官』で良いし、普通の喋り方にして下さい」


「ハイ、分かりました」


「それより、サリー。お前の名前は何じゃ?」


「私は『サリー・フォスター』です」


「サリーさんで良いのかな?」


「いえ、私ごときには敬称は要りません。あくまで『サリー』とお呼び下さい、閣下」


「それより何度も私の夢枕にガイア様が出現していたので、今回直接私の前に現れてもあまり驚きませんでしたが、今回直接出現した理由は何故ですか?」


「それはな、、、、、」


 ガイアは中破に今回降臨した理由を順に説明していた。


 現在、中破が住んでいる地球世界は、正史地球と呼ばれている世界で2025年時点のものをコピーしたもので、コピーして分岐点が出来た時点で少しずつ歴史が違ってはいるが、あまり大きくは変わってはいない。


 だが、年代が進むにつれてPW地球の世界では第二次朝鮮戦争や日韓戦争が起きて日本国憲法が改正され、自衛隊が日本国防軍になった。

 しかし、正史地球の世界ではそのような戦争は起きておらず、日本国憲法も改正されずに自衛隊も変わらずにそのままの状態であった。



「ガイア様、少し疑問に思ったのですが、日韓戦争の時にあまりに韓国軍の軍隊がお粗末で、逆に日本側の国防軍の損害が殆ど無かったのが不思議だったのです」


「中破さん、神風でも吹いたのじゃないですか?」


「ガイア様、そんな曖昧な言い方では中破さんは納得しませんよ。

 もう少しキチンとした納得した説明をしないと」


「でもな、サリー。この解釈が或る意味一番正しいのだけどな。

 まあ良い、説明しよう。それはな、、、、、、」


 つまり、ガイアはモノには精神体が宿るということである。

 モノは『者』であり同時に『物』でもある。


 例えて言うなら、何故『日本刀』が世界最高の刀剣であるかということ。

 職人が精魂込めて造る物には『魂』というか、人間と同様の『精神体』の様なモノが宿るということである。


 それは一種のバリアみたいなモノで、神々である管理者が使用している電磁バリアやエネルギーフィールドに近く、魔法エネルギーが主体の異世界でいう魔法障壁に近いモノで、オーラとほぼ等しいモノといえる。


 つまり、この事は日本刀に限らず、日本中の製品で職人や工場の人達が精魂込めて造った物には、何らかの見えない精神エネルギーが宿っているといっても過言ではない。


 ところが、韓国製の兵器は日本側の国防軍には効かないか、せいぜい軽微な損害しか与えられない。

 それどころか、マトモに動かずに自国の兵士を巻き添えにするような自爆をするような物すらある。


 コレらの差は何処から来るのか?というと、モノへの愛情の差であった。

 日本人は針供養や、食料の材料まで供養をし、そのモノに対する感謝の念を忘れない。

 この精神性は、日本軍での常日頃の整備でも現れており、例えばアメリカ軍の供与した兵器でも、キチンと愛情を込めて整備すると、その兵器はカタログ性能以上の性能を発揮するようになるわけだ。


 ところが、韓国軍は整備の概念すら持っていないようで、ニコイチ整備等は当たり前に行われ、モノに対する感謝の気持ちや愛情の一つすら持ち合わせていないため、普通に動くはずの兵器もマトモに動かなくなるわけである。


 それでは、アメリカやイギリス、ドイツ等の兵器はそれなりに稼働出来る。

 これは、マニュアル通りにキチンと整備するから動くわけである。

 その国々の兵器でも、韓国に輸入すると殆どが動かなくなるわけで、それの原因は、韓国側がマニュアル通りに整備しないからである。


 自国製品はもっと悲惨とも言えるわけで、各開発担当者は私腹を肥やしたいために、規定通りの材質より劣るモノを使用し、電子回路は民生品の流用品、やっとの思いで組み立てて出来た兵器は粗悪品そのもの。

 戦っている兵士は、徴兵制でイヤイヤ兵士になった者ばかりだから、愛国心の欠片すら持ち合わせていないわけだ。


 ロクに整備していない兵器と、徴兵制でイヤイヤ兵士になった者の軍隊が、『ネジ』の1本でも愛情を込めて整備している兵器と、国の為に志願して戦う兵士の軍隊と同数で戦った場合はどちらに軍配が上がるだろうか。

 戦わなくても決着の結果が、幼子でも予想出来てしまうものといえよう。


「しかし、ガイア様。余りにも大差が付き過ぎて、ワンサイドゲームとしかいいようがないのですよ。

 コレは何らかの見えない力が働いたとしか思えないのですが」


「中破さん、私は何もしていませんよ。神々は通常の場合は何もしません。

 天使達も神々よりは遥かにレベルは低いですが、小規模の行使は行えます。


 私が大元の計画を準備するように話すと、天使達は自分らが思うがままに、自らが善と思える方向に勝手に自由気ままに動きますからね。


 彼女ら天使達は、現在はバイオロイドの肉体ですが、元々はアンドロイドの機械体なのです。

 そんな元々機械体の彼女らが、例え兵器で鉄の塊でも愛情を込めて整備する人達をどう思うかですね」


「分かりました、ガイア様。私達日本人は神々の恩寵と天使達の加護に守られた民族であることを改めて思い知らされました」


 中破はガイアからの説明を改めて理解し、女神と天使達に感謝の念を忘れずにいた。

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