10話 韓国敗北、その後の占領政策


 韓国軍は日本に軍事侵攻を開始したものの、韓国海軍の艦隊全ては日本国防海軍に全て撃沈され、また韓国空軍及びミサイル部隊も日本国防空軍の空爆を受けて全滅状態だった。



 東京都市ヶ谷地区 国防総省中央指揮所内にて



「コレでアチラさんが白旗を上げてくれれば、和平に応じるのだがな」


「閣下。プライドが人一倍高い国なので、なかなか負けを認めないようです」


「降伏勧告は続けているのだな」


「ハイ、韓国海軍艦隊を全滅させた時と今回の空爆で2回ですね」


「やはり、海兵隊と陸軍を上陸させて釜山と済州島を占領するしかないのか」


「その方が韓国側も諦めが付くのではないかと思います」


「分かった、作戦参謀。そのように手配してくれ」



 国防陸軍及び海兵隊の参謀本部は、自衛隊時代から韓国軍が日本を仮想敵国にして軍事シミュレーションを行っていることを気付いており、その侵攻計画目標は常に対馬であった。


 憲法改正後以降は、常に韓国軍が軍事侵攻することを想定し、敵の反撃準備と韓国本土への上陸作戦を立案していた。

 その後、韓国軍の軍事侵攻直前から上陸部隊の準備を済ましており、市ヶ谷からの命令待ちの状態であった。


 呉海軍基地から佐世保海軍基地に移動した第1輸送隊と、佐世保海軍基地を母港としている第2輸送隊は、国防陸軍及び海兵隊部隊を乗船させ、同基地を出港した。


 第1、2輸送隊には、当然ながら護衛艦隊の第1~5護衛隊と第1潜水艦隊が同行していた。

 さらに空軍から、海兵隊と陸軍を援護するために対地ミサイルと爆弾を満載したF-2が10機発進した他に、アメリカ軍から提供されたA-10Cが20機発進した。


 第1輸送隊が木浦港接岸以前に既に勝負が決まっていたようなもので、護衛艦隊と空軍のF-2編隊による援護攻撃は、木浦海軍基地及び周辺各基地を火の海にしていた。


 加えて、先日各空軍基地に空爆を与えたB-1Rの10機が、海軍基地司令部がある釜山港と陸軍各基地を空爆して陸・海軍を壊滅状態に追い込んでいた。


 さらに韓国内の陸軍基地には、十数門の対空砲が設置され、さらに一応戦車と自走砲が各100両以上あったことから、A-10Cの20機がこれらの兵器を撃破に掛かったところ、ものの1時間位で全ての兵器が破壊され、戦闘不能状態になっていた。


 第2輸送隊は、済州島を目指していたが、同島には韓国海兵隊基地があったものの、第2輸送隊に同行していた護衛艦隊と空軍の援護攻撃は釜山港と同様に火の海と瓦礫の山に変わっていた。


 その後、輸送隊乗船中の海兵隊と陸軍は木浦港から上陸し、周辺地域と木浦空港と光州空港を押さえて、日本との空輸体制を確保していた。



「出来ればソウル市内を火の海にしたくないな」


「今回の降伏勧告で、韓国側が白旗を上げてくれれば良いのですが」


「作戦参謀、今度は流石に降参すると思うぞ」


「それは閣下の勘ですか?」


「ま、政治的な勘だろうな」


「参謀!韓国軍事政府からのホットラインが入電しています」


「了解、コチラに回せ」



2035年7月


 韓国軍は陸海空全ての反撃能力の殆どを失い、日本国政府の降伏勧告に対してようやく降伏し、日本側の降伏条件は当然ながら無条件降伏であった。


 日本側から韓国政府に対する要求は


・韓国は恩を仇で返す国家と国民であり、国家レベルで日本及び世界の国々に対して謝罪をすること。


・韓国が独島と称していた竹島は日本国領土であり、日本に返還すること。


・日本国に対して賠償金100兆円を支払うこと。


・済州島を日本に割譲すること。

 割譲を認めた場合、日本に対しての賠償金を50兆円に減額する。


の以上であった。



 まず、最初の謝罪については、日本側は一切期待しておらず、韓国側の反発は予想通りであった。


 何故なら彼等の言い分は、無条件降伏したにもかかわらず

『勝手にチョッパリ(日本)が韓国に戦争を仕掛け、神聖な韓国領土に上陸することは許されないニダ!』

ということらしい。


 日本側は韓国を降伏させるために半島に上陸して一時的に占領したが、まず最初に宣戦布告無しに日本に戦争行為を仕掛けてきたのは韓国側であった。

 だが、日本が先に戦争を仕掛けたとの一点張りであり、謝罪することは一切無かった。


 次に竹島については、独島を勝手に日本が奪ったとほざいていたが、竹島に日本軍が上陸占拠してからは、独島返還デモは月日の経過と共に下火になり、最終的には忘れられた状態までに落ち着いていた。


 問題は賠償金であった。

 韓国側は、あくまで戦争は日本側から仕掛けられたもので、日本側が韓国側に賠償するのは当然で、日本側に賠償金を支払う義務は一切認められないことだと、一方的に主張するのみであった。

 それ故に日本が韓国側から盗賊とか強盗呼ばわりされることは承知の上で、半島占領時に日本国防軍は韓国銀行本支店の資産全てを差押えた。


 有事なので、当然ウォンは使い物にならないほど下落して価値が0に等しい状態のため、本来は金地金(金塊)が一番良いが、韓国の金保有高は約700億円分しか無かった。

 そこで、金地金も含めて各銀行から集めた外貨準備金の米ドルを強制的に差押えたが、その外貨準備金も約40兆円しか確保出来なかったため、財閥系各銀行を差押えて米ドル紙幣で約10兆円を確保した。


 コレで半分の賠償額であるが、済州島割譲を韓国側が承認したため、資産の差押えは終了し、次のターゲットとして、韓国特許庁の一切を差押えた。

 特許関係書類を押収した他に、データベース全てから特許情報を抜き取り、これらのデータベース、バックアップセンター、特許庁の建物全てを職員避難後に爆破した。


 この日本側の行為に韓国側は泥棒猫だと非難したが、日本側からすれば過去に韓国側の産業スパイ等で盗まれた特許技術を取り返しただけであった。



 韓国を占領当初は、日本は韓国を様々な援助政策を実施する占領政策を予定していたものの、韓国側は今回の戦争においても原因と切っ掛け、さらに先に手を出したのは韓国側であるにもかかわらず、一切その事実を認めず日本側に謝罪する気配すら無く、『恩を仇で返す』国家とその国民であることを、日本国民は改めて再認識し、占領中は援助政策を一切行わなかった。


 そこで今回、日本側は韓国側から盗賊行為の非難を浴びることは承知で資産を差押えて、日本側の賠償金として資産を没収したのである。

 そうしなければ、韓国から将来的に一切賠償金を取り立てることが出来ないことから、降伏後に速やかに韓国銀行本支店及び財閥系各銀行の資産を差押えて没収したのである。



 済州島割譲は、意外と韓国側にすんなり認められた。

 済州島の住民は、むしろ日本軍の占領に歓迎していた。

 何故なら、済州島は過去韓国本土から流刑地として扱われ、島住民も差別を受けていた他、第2次世界大戦後に韓国政府が樹立に伴う粛正から逃れた韓国人は、現在日本に住む在日韓国人の大半を占めていた。


 日本軍の全土占領は約3カ月続いた後、国防軍は韓国全土から撤兵した。

 だが、竹島と割譲した済州島には軍を常駐させていた。


 占領3カ月後に撤兵した後、日本は韓国との国交を断絶した。

 韓国政府は日本だけでなく、世界中の国々から国交を断絶されていた。

 韓国は軍事政権誕生時に国連を脱退しており、今回の戦争行為等で国連からは門前払いを受け、逆鎖国状態といえた。


 そこで日本側は救済措置として、済州島のみを韓国側の唯一の窓口として、事実上の出島としたのだった。

 済州島は日本の経済特区であるため、日本人はビザなしで済州島に上陸が出来、また日本と国交のある国々もビザなしでOKであった。


 済州島を日本が認めた国際経済特区に指定し、法人税10%、観光客免税措置とすることで、世界中の国々の資本投入を呼び込んで、済州島全体は一大リゾート地として発展して、法人税の半分は日本に納付し、残り半分は済州島自治体に還元した。


 済州島への出入りは、韓国以外の国々はビザなしで自由に出入り出来るが、韓国内へ他国人の立入は一切認めていなかったが、済州島住民のみが韓国内に立ち入ることが出来るも、韓国半島人は一切済州島には立ち入ることは不可能である等の非常に厳しいものであった。

 そのため、済州島住民の大半は韓国内を自由に往来出来る行商人に変わっていった。


 今回の日韓戦争で日本側の懸念事項は、在日韓国人の取扱いであった。

 右翼団体や右翼系政党議員からは、敵性外国人として収容所等に隔離すべきという意見も多かったが、全国で約50万人居住しており、あまりにも人口数が多いため、収容所隔離は現実的では無かった。


 また、在日韓国人は右翼からの排斥・差別から逃れるために、元々の出身地である済州島が日本の領土になったことで、日本本土から済州島への移住者が増加し、その数は約50万人弱で殆どの在日韓国人が移住して行った。


 移住者が増加した原因は、済州島出身者及びその家族や、同島に移住希望の在日韓国人に対し、日本政府は韓国籍を保証して敗戦した韓国内を自由に往来出来るパスポートを与え、移住時における様々な補償金、援助金を助成して済州島移住を推進したことが、移住に拍車が掛かったのであった。

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