Op.003

帰宅時に駅を降りたら、昼間とはうってかわって涼しい、ひんやりとした風が吹いてきた。アスファルトが濡れていた形跡があったが、止んでから時間はだいぶたっていたらしい。空を見上げれば雲はまばらで、星がよく見えていた。

あれは北斗七星、いつも4番目の星が見えづらい。そして、天頂を見上げて、明るい星をさがしていて、気づいた。そうだ、いまはもうオリオンはいない。彼は蠍を恐れて逃げ去り、時はいつのまにかすぎて夏の大三角形があるはずで、いつからか私の内部時間は狂い初めている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る