第8話 1章 幕間 かつての日々

 4月。


 春である。桜が空に舞い、出会いと別れの涙と

 複雑な感情が入り混じる暖かい季節。


 そんな少しセンチメンタルな季節に、私はどうしても彼女の黄金の髪に目が奪われる。


 私の少し前を歩く彼女の風に靡く髪。


「どうしたの?」

 彼女が問いかける。


「ううん、何でもないよ」

 私が答える。


 そんな、大学生活のなんでもない日々。


 この関係が心地よかった。


 ありきたりであったが大切だった。


 確かに幸せを感じていた。


 変わらないものなどない。頭ではわかっているつもりだった。


 誰も......この幸せの終わりを考えたくないのだから......。


 ああ、時が過ぎるのが恨めしく感じる。

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