死にたいわたしと、改造都市伝説と、怪異と戦う少女たち

郁崎有空

前書き

前作のあらすじと登場人物紹介、今作のあらすじと登場人物紹介

「有空の小説は本作が初めてだけど、前作まで読むモチベーションがない」「前作の内容忘れた」「暇すぎる」という方のために、前作と今作、それぞれのあらすじとメインの登場人物の紹介を書きました。自分の中の設定把握のためも兼ねています。


「別に前作とか気にしない」「前作読んだ」「よく知らんけど改造都市伝説だけ気になる」という方は次のページへ(改造都市伝説は四話くらいから関わってきます)。


 一応、(自分の頭の中だけに一応あった、そのうち使う気がする)初出の設定なんかもあったりするので、前作を読んだ方も興味があれば読んでいただければと思います。


 これを読んでも前作の内容が把握できなかった場合は、前作をお読みになるか、雰囲気で把握するか、なにかしらの形で質問していただければと思います。こちらもなるべく答えます。


 そんな感じでお願いします。



 前作『死んでしまったわたしと~』あらすじ


 普通の高校生幽月令ゆづきれいは交通事故で亡くなり、幽霊として蘇った。


 その後、彼女は生まれながらの霊視体質を持つ親友真咲菊乃まさききくののそばに付き添うことになるが、菊乃はなにかに復讐しようとしている。


 実は、令の巻き込まれた交通事故は、悪霊トモコによって仕組まれたものだった。


 目の前に現れたゴスロリドレスの少女トモコによって真実を伝えられ、『お友達』になるよう手を差し伸べられる。それでも令は菊乃とともにいることを決意する。


 こうして菊乃たちの復讐は始まり、心霊調査と称して「幽霊を殺す方法」を探した。廃アパートの霊、動画サイト「WarTube」で活動するアイドルWarTuberの霊、野良猫の霊、廃校の七不思議、特定の生徒に取り憑いて嫌がらせを行う生霊、そしてエアガン除霊を得意とする霊能中学生・佐倉魔薙さくらまなとの出会い言葉を交わし、二人はそれぞれに成長し、そして令から苦悩の末に別れを果たされる。結局、「幽霊を殺す方法」など存在しなかったからだ。


 ほぼ同時に、有名アーティストGENによる、霊能や呪術の才能を持つメンバーで構成された音楽ユニット『霊魂絶滅祈祷隊れいこんぜつめつきとうたい』の動画がネット上に上げられた。彼らの新曲『Pine』には真言と呪術がサブリミナル的に織り交ぜられており、それは生者の洗脳と死者の除霊を同時に果たすものだった。


『Pine』により全国一斉除霊テロが果たされようとするなか、菊乃は魔薙からこのことを知らされる。令の身に危険が迫ったことを知った菊乃は魔薙と集まり、不滅アイドルWarTuber御前おんまえキルの手を借りて、反呪術音源を組み込んだ曲のアップロードを企てる。


 一方、令は逃げた先で自分の本当の気持ちを自覚し、迎えに来たトモコとともに菊乃のところへ帰る。菊乃のもとへ帰った令は自分の気持ちを伝え、いつの間にか菊乃の感触を確かめられるようになっていることに気づく。それは令の力が強まったのか、それとも二人の気持ちの起こした奇跡か。本当のところを分からないまま、二人は抱き合う。


 そうして、トモコとも仲直りをし、真咲菊乃の復讐は穏やかに幕を閉じる。


 その後、『Pine』のサブリミナル呪術除霊によって刺激された全国各地の霊たちは一斉に霊障を引き起こし、『霊魂絶滅祈祷隊』はそれぞれ奇怪な死を遂げる。そうして、『Pine』事件として人々に名前と傷を残すこととなった。




 前作登場人物紹介


幽月令ゆづきれい


 十一月の始めごろ、トモコに取り憑かれ交通事故で亡くなり幽霊となった。享年16歳。


 死んでも案外けろっとしており、常に明るく振る舞う。しかしそれは、自分含めて真咲菊乃以外のことにほとんど興味を失っていることへの裏返しであり、菊乃のためなら自己を犠牲にする覚悟もある。


 中学から絵を描いていたこともあって絵が上手いが、最近は菊乃のことしか描いていない。苦手なものは料理。


 家が転勤族でたびたび転校を繰り返していて、菊乃とは高校一年の七月頃に出会い、転校初日から菊乃を面白がって追いかけているうちに親友となる。


 実は優等生で、それは妹のりんに憧れられるほどだった。


 のちに菊乃と肉体関係を交わし、菊乃以外のことにも興味を持ち始める。




真咲菊乃まさききくの


 霊視体質の高校一年。この体質のせいで幼い頃から幽霊がくっきりと見え、家族やクラスメイトに不審がられた。そのため、高校の頃まで友達がまったくおらず、令に「スレた生徒」と思われるほど孤独に生きていた。しかし令に面白がられて付け回されるうちに打ち解けて、後に令に依存するほど懐いていく。


 令が亡くなって悪霊トモコに復讐を誓おうとするが、霊を殺そうと用いる手段があまりにエキセントリックすぎてまったく上手くいかない。


 私服がびっくりするほどダサいが、本人は普通にオシャレだと思って着ていて、たびたび令に笑われる。家族が共働きで自炊することが多いためか、料理が得意。


 ネコが好きで、中学の頃に野良猫の霊に話しかけていたほど。マンボウも好きらしい。

 のちに令の友達だった冴恵さえ青葉あおばとも距離を縮め、令にやきもちを妬かれる。




・トモコ


 闇色のゴスロリドレスに常に日傘を差す少女の姿をした、一部の幽霊の親となる存在。いわゆる悪霊。『神様』に選ばれた『使い』を自称するほど強いを持つ。享年不明。


 幼い頃に菊乃と仲が良かったが、小六当時の菊乃の親が依頼した霊能者のお祓いをきっかけに距離を取ることになる。その後、菊乃のことを陰ながら見守るが、やがて令と仲良くなりはじめる様子に嫉妬し、令に取り憑いて交通事故で殺してしまう。


 彼女が何者かの死に介入することで、その対象を死後幽霊にさせることができる。夢原由可ゆめはらよしか御前おんまえキルなど、トモコを親にして誕生した霊の死因は、すべて彼女が関与したもの。


 のちに菊乃と令のことで反省し、他の霊から人を守るようになる。




佐倉魔薙さくらまな


 霊能者として活動する佐倉道永さくらみちながの一人娘。中学二年。実は道永にはまったく霊能力がなく、いまは魔薙が主に除霊を行っている。


「除霊ガン」「除霊ネットガン」などと呼ばれるフレームに特別な施しをしたエアガンやネットガンを用い、霊に対抗する。しかし、霊能者のなすべきことが「霊を成仏させること」ではなく「霊を外へ追い払うこと、遠ざけること」と理解しているため、あまり深追いはしないよう意識している。


 チンピラ気質と霊能者の職業柄で菊乃に(なかば一方的に喧嘩をふっかけられて)対立していたが、心根が割とまともだったこともあり、令の仲介で仲良くなる。


 母親は魔薙以上の強い霊能を持っていて、海外でゴーストハンターとして活動している。魔薙の持つ除霊ガンなどの対霊ガジェットは母親から引き継いだ技術で作られたもので、道永もまた対霊ガジェットを用いてしばらく霊能者として活動していた。


 のちに魔薙を「お姉様」としたう財閥の娘と協力して、潤沢な資金源のもとに新たな対霊ガジェットを開発しはじめる。




御前おんまえキル。


「不滅殺戮GTuber」として動画サイト「WarTube」で活動していた幽霊。享年18歳。本名は江島霧里歌えじまきりか


 9年前、人間関係や成績のことで不登校になり、その間にピコピコ動画で「Kirika☆」として歌い手の動画を上げていたが、アクセス数がまったく伸びず、母親の虐待によって亡くなってしまう。


 死後も動画への未練が断ち切れず、歌い手として投稿し続けるが、マイクに上手く干渉できなかったことでおぞましい声になり、「呪いの歌ってみた動画」としてオカルト板を一時期湧かせた。


 これをきっかけに霊としての自分が売りになると気づき、後に「不滅殺戮Gtuber」として(主にアンチの)視聴者をネットを経由して移動して、見世物として憑き殺していった。


 アバターや作詞作曲はすべて自分で行っている。幽霊として生きるなかでの妄執のうちにこれらを獲得した。


 のちに「不滅アイドルGtuber」として名乗りを変えて、呪殺は行わず普通のネットアイドル活動をしていくが、いままでの過去や一部ファンの妄信的な一斉自殺騒動でしばらく炎上することになる。それでもなお、彼女はそれを乗り越えて、自分の目指していた本物のスターへと上り詰めた。



 今作「死にたいわたしと~」あらすじ


 姉の死から一年半が経ち、幽月鈴はなおも姉の悪夢に侵されていた。


 WarTuberとしてせっかく撮った動画もあまりいい評価をもらえず、友人の瓶井嵐かめいらんと同じホラー文芸研究部に入ることもできなかった鈴は、孤独に遊び歩くなかで『ブラウンコートの大男』の都市伝説を耳にする。


 鈴はすぐにスマホで調べ、一番上に出てきたToritterアカウント〈『改造都市伝説』報告書〉の書き込みを読む。そして動画のネタになると判断して、そのなかの禁忌きんき事項を実行した。


 途端、周りの景色が歪み、気づけば都市伝説の形成する仮想空間『デスタウン』に転移していた。


 それからその出来事をきっかけに、鈴を中心に『改造都市伝説』の陰謀に巻き込まれていく。


 改造都市伝説×幽霊×ガールズストーリー×連作ホラー


 新たな脅威『改造都市伝説』を相手にし、スペクターシリーズ第二弾が始まる。



 今作キャラ紹介


幽月鈴ゆづきりん


 高校一年。いまは亡き姉の令に憧れて生きてきたが、あることをきっかけに姉から自分を意識して離そうとしはじめる。髪を茶髪に染めて母親に泣かれた。


 今はWarTubeで心霊突撃動画を投稿する「スズランチャンネル」のスズとして活動しているが、映す心霊現象のショボさとグッダグダ具合になかなかにアクセス数が伸びない。


 ある出来事によって生まれた「姉に見捨てられた」という思い込みをきっかけに、姉の悪夢を見たり、ネガティブな自殺願望にかられたりしている。しかし自尊心のなさと根本の真面目さゆえに、他人のための自己犠牲に一切のためらいがない。


 ゲームが好きで、家に帰るとよくやっている。VRアーケードゲームでは音楽ゲーム『パステル・メーカー』が特に好き。




瓶井嵐かめいらん


 高校一年。鈴とともに活動している「スズランチャンネル」のランを担当している。


 動画活動を通じていろんなところへ手を引いてくれる鈴に感謝している。


 将来の夢は映画監督で、高校入学祝いのビデオカメラを使って、スズランチャンネルのカメラマンを務めている。


 脚本の練習がてら小説を書いていて、ホラー文芸研究部部長の三ツ矢四星みつやよほしに評価されるほどの出来だが、本人はあまりそこにはこだわっていない。




三ツ矢四星みつやよほし


 高校二年。ホラー文芸研究部部長。三年で活動していた面々が途中から軒並み幽霊部員になってしまったため、急遽きゅうきょ部長を務めることとなった。


 こだわりが強く、いつもしょぼい心霊突撃動画を持ち込んでくる鈴を「サークルクラッシャー」と呼んで忌み嫌う。


 しかしホラーへのこだわりが強いだけで、真面目にやればちゃんと評価してくれるため、他の部員からの信頼は厚い。




妖斬橋あやきりばし椿妃つばき


 中学三年。自称「天才霊能者佐倉魔薙さくらまなの弟子兼助手」。


 妖斬橋財閥の令嬢で、一年半ほど前の『Pine』事件をきっかけに霊能者の佐倉親子を呼ぶ機会があり、それ以来魔薙と新たな「対霊ガジェット」の共同開発を進めている。


 魔薙のことを「お姉様」と呼び慕い、収入の不安定な霊能者になろうとする魔薙を養いたいと思っているが、当の本人には遠慮されている。


 武器は「除霊デリンジャー」。助手としての活動時は「感霊グローブ」と「感霊ブーツ」、「霊視ゴーグル」「霊感補聴器」などの対霊ガジェットを用いる。


 運動神経と分析能力に優れていて、その面で魔薙に一目を置かれている。基本的に冷静で、たまに容赦のない物言いをする。

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