032 ボーイズラブ、俺はポムポムプリンが好き
◆◇◆
今日も俺は、眠たいけども学校に来た。
最近は登下校の際、充子の目が気になるのでさくもとは当然別行動だ。校内においても、用事が無い限りは、さくもと話すことはしない。
だけど今日は、放課後に3人で不動産屋に行くのだ。既に、充子にも承諾済みである。
只今、保健の授業中 ——
「今日は金曜日だから……。よし、じゃあ有江! 教科書の43ページを読んでくれ!」
「金曜日関係ねぇじゃねぇか!」
「うるさい! えなりかずきみたいな声で口答えするな!」
「チッ! 分かったよ……。読めばいいんだろ」
億鳥おじさんに当てられた。
「BLとは、ボーイズラブのことである。今日では、男性同士の恋愛を題材とした小説や漫画が多数存在する。同人誌においても需要が高く、全国の腐った女性達はBLに群がる。また、重要なのが『受け』と『攻め』の関係性である。この概念があることで、日々多くの争いが生じ、また、尊過ぎて悶絶する女性も多く見受けられる」
「よし、有江! よく読めたな! ところで、お前はBLに興味あるか?」
「あ、あるわけねぇだろ!」
とは言いつつも、俺の脳内には亜房先生が浮かんでいた。
「せっかくだから有江! お前の理想のシチュエーションを話してくれ。一体、どんな男がタイプなんだ?」
「言うかボケェ!」
ちょうどチャイムが鳴った。
「仕方ない。今日の授業はここまでだ! 各自、BLについてのレポートを次回までに仕上げて来るように!」
◆◇◆
そして放課後だ ——
校門の所で、さくもと二人で充子を待っていた。
「りんごくん、さくもちゃん、お待たせ」
充子がやって来た。
「やっと、りんごくんとさくもちゃんの忌まわしき同棲生活が幕を閉じるのね……。監視カメラでいつも視ていたけど、一夜の過ちはなかったみたいだから二人を信じるね。実は、トイレにも、お風呂にも、監視カメラはあったのよ。りんごの部屋に死角は無いの」
マジかよ。トイレと風呂の監視カメラの話は聞いてないぞ。確かに言われてみれば、トイレに飾ってあるポムポムプリンのぬいぐるみのお尻の穴が広がっていた気がした。あそこにカメラが仕込まれていた可能性が十分にある。
「それでさくも……。何処の不動産屋に行くんだ?」
俺が尋ねる。
「この学校の裏よ」
「学校の裏? ほぼ山みたいな所じゃねぇか。本当にそんな場所にあるのかよ?」
「ネットに載ってたのを見ただけだから、本当にあるのかどうかは分からない。ただ、レビューを見る限り最低だったわ。
「ほ?」
「きっと何か事情があるのよ。だから、弱味を握って安くしてもらいましょう」
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